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案山子 其の伍
讃歌
銀 銀 銀
そいつはまさしく蛾
でぶっちょの
蝶々
踏 踏 踏
踏まれたイチョウ
そのものの
羽
金も銀も白も
知らぬ存ぜぬ
そいつは蛾
銀粉つけて
生きているだけ
――黒い闇の中で
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風物詩
ジャギリと
前髪を切る
いつくしみなど
しない
夏になったカラ
ジャ魔ネ
とひと言
つりあいが崩れた
歪んだ顔が
鏡のなかに
潜んでる
風が吹き抜ける――
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知らない瞳
時に 現世に うつし世に
歩みを止めさせる程
強烈なインスピレーションが
――襲う! 踏襲する!
透明な膜が
瞳の裏に貼りついている
今や 人が 何と言おうと
心は 裏をのぞいているのだ
斜めに映える
うつし世の
水平線は
止まりゆく・・・・・・




