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案山子~宇佐美みちる詩集~  作者: 宇佐美みちる
4/9

案山子 其の四


   回想


 その気持ちを

 いったい どのように

  言えればよかっただろう?


 自分の思いは 誰にも

  永遠にわからないという認識と――


 こごえそうな 冷たい風が

  ふと 首すじかすめてゆくような――


 ある日どこにも居なかった母を

  泣き叫び 捜した日のような――


 足元をすくわれる

 巨大な絶望とともに

 沸きあがる 思い


 ――私は、ここに、居る。

  私は、ここに、居るのに。

 滅びし学者の叫びが聴こえる・・・・・・

    コギト エル ゴスム

    我思ふ ゆゑに 我あり


*******************


   問答


 あなたは見ないのか――

この広い地球を

 こうして狭い世界を

  (言動、即刻却下いたす)

 いつか降り積もるよ

 すべての人間の頭上に

ザブリ ザブリ

   深紅の炎

  (まるで―――のような)

 ―――早く気付いて・・・・・・

 もう間に合わない

  (余計なお世話)

   (沈黙・・・・・・)


 愛しい星のその名は、地球。


*******************


   深夜


 ズボン片手に

 ボロ布ひっさげて。

  シミでべとつく

  少し鈍い藍色の

  うす汚れた後ろ姿


  テールランプの街道を

  靴音響かせ

  颯爽と去ってゆく


 遠くでドリルの軋む音

 街の夜が

 更けてゆく。


 横ぎるひかり・・・・・・

 街灯・・・

 朝やけ。

   

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