案山子 其の壱
春
故に桜は散り・・・・・・春は
穏やかに消えゆくのか
さくら色の
花びらの
道は続く
けれどまた訪れる・・・・・・春は
盛大なる嵐ひきつれて
渦巻く風と
花びらと
雨と
春
――巡り来たる新たなる季節
(初出・詩人会議)
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愚問
金を取り巻き 銀を取り巻き
ざわめき暮らす微弱な集団
呑み込んでゆく黒い都会
見えないのは地平線
消え去るのは人の運命
分からないのは自分自身
偉人よ、答えてほしい!
もう一度戻れたなら
どんなにか・・・・・・
日がな一日
そればかりを苛む
――西へ西へと傾く太陽
やがて 愚かに日は落ちる
砂とまがえる 光を抱いて
(初出・笹船)
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希望の明日
冷たい 虚空の果てで叫んでいる
瞼 閉じると 見えてくる
白い霧のオヴジェ
渦巻き 千切れ 流れては
また 渦巻く・・・・・・
静かに 青い広がりの中 漂う
西の彼方 揺れる地平に沸き立つ
瞳 凝らして 真っ直ぐ見据える
新たな終わりと
新たな始まりの閃光
地球の産声、生命の輝き――




