エピローグ
「どうしたんですか? タカラさん」
「ん、ああ……」
戦いが終わり、夕焼けに染まる池の跡地。
もうバインドたちの姿もない。
そこに佇むタカラに、背後からレキが声をかけた。
「強かったな」
「はい、強敵でした」
敗れたバインドはもう意識がなく――といいうより両腕もズタズタで、意識を保っていられたのが奇跡だとも言える――それを、まだあった予備の素体に移ったフリーダが抱えて連れて行った。
その間際、フリーダとレキは再戦を誓っていた。
「今回おれ達が勝てたのは、これのおかげだ」
タカラの手には、ブラックホールスナイパーライフルとタイムキーパーがあった。
「……だけど、これはおれの力じゃない。ガンゾートを作ったスタッフさんたちの、努力の結晶を借りただけに過ぎない。だから……本当は使うつもりじゃなかった」
そう。
タカラはゴム手袋が電撃を防いだ際に、地球のイメージが通用することに気付いていた。
ただのゴム手袋が電気を遮断する力があるかはわからない。
だが、ゴムは電気を通さないというイメージが、地球では一般的だ(、、、、、、、、)。
こちらの世界にはそもそもゴムがないのに、そのイメージで効果が発揮されたわけである。
つまり、有名アニメの武器もその効果を発揮するであろうとわかっていたのだ。
「レキ、おれ誓うよ。もう二度とこの手は使わない」
武器ごとぐっと拳を握り込み、夕日を見つめる。
「おれの力で、こんなものが作れるようになりたいんだ。……おれ、原型師になりたい。今まで、自分に自信がなくて誰にも言えなかった。でも、何もしてこないのに自信なんてあるわけがないんだ。だから、頑張って、努力して、どこに出しても恥ずかしくない作品が作れる原型師に、おれはなる!」
握った拳を、太陽にかざして誓う。
「出来ますよ。タカラさんなら。……いつか」
「うん。でもその前に――」
「へ?」
タカラはレキの肩を掴み、
「おれ、優勝するよ。レキを、優勝させてみせる」
にっこり笑った。
レキは震え、
「はいっ!」
元気よく、答えた。
「おーい、何をやっておるのじゃ~?」
遠くから、姫が呼んでいる。
「姫様、折角いい雰囲気になっとるとですから……」
その姫を、エポナが押し留めた。
傍らではヤミタがやれやれと言った様子で目を伏せている。
「な、なんじゃ? どういうことじゃ?」
「いやいや、そういうのじゃありませんから」
変に誤解をされぬよう、タカラとレキはそちらに向かって走り出した。
「今回は素晴らしい戦いじゃった。この調子なら優勝も夢ではないのう。そうなれば……また祭りじゃぞ!」
姫は満面の笑顔で腰に手を当てて言う。
「あんなこと言ってますよ」
「そうだね。……今度、またダンスになったら……」
二人は走りながら向き合い、
「おれと」
「私と」
「「踊って下さい」」
タカラとレキの戦いはまだ始まったばかり。
最終的な結果は、神のみぞ知る。
だが、この二人なら優勝できる、誰よりも当の本人たちが固く信じていた。
現在、3勝1敗。
残り320日。
果たして――




