決着
「ああっ……」
姫が顔を覆い悲痛な声を漏らす。
「私の……」
フリーダが口を開いた。
「負けか……」
ぴしっ、
ぴしぴしっ、
フリーダの頬から微細なヒビが広がっていく。
ヒビは亀裂となり、ぼろぼろと砕け始める。
「ぐうっ! まだだあっ! こんなところで終われるか! 己は王になるんだ!」
「バインド様……もう止めましょう。私たちの負けです」
「黙れフリーダ!」
バインドは絶叫しながら、素体を再び入れ換えた。
すぐにフリーダの傷が消滅し、外装が甦る。
「さぁ戦えフリーダ! 命令だ! 戦えええっ!」
「く……」
フリーダは顔を歪めながら剣を構える。
レキは膝をついたまま、もう動けない。
その頭上にギロチンのように剣先が向けられ――
ぴしっ、
ぴしぴしっ
何も触れられていないのに、フリーダの体にヒビが入っていく。
その全身が、震えて行く。
「な、何が起きている! どんな攻撃なんだっ!」
「こ、攻撃ではありません。私の……精霊の本体そのものが、震えているのです!」
フリーダはぼろぼろと涙を流しながら、嗚咽にも似た叫びを漏らした。
「何をバカなことを! くそ、不良品を作ってしまっていたのか? ならばまた換えるだけだっ!」
バインドがまたしても素体を取り換えた。
だが、新しい神体になったフリーダも、やはり震え続け、ヒビが入っていく。涙が止まらない。
「何なんだこれはあっ!?」
「わかりませんか。マイ・マイスター。……圧倒的に不利な条件を、その場の機転で乗り越えていくマイスターと、それを信頼して戦う神体――あれこそ、神体大戦の理想の姿ではありませんか?」
「だったらどうだというのだ!」
「震えてしまったのです。私の、心が。彼らの姿に感動してしまった。だから震えが止まらないのです。だから……もう私たちの、負けです」
振動自壊。
いくら神体の素体を替えようとも、そこに入る精霊そのものが振動してしまえば移った先にそれが伝播する。
そして、転移先で崩壊してしまうのだ。
「そんな……ことが……」
「レキと言ったか。早く私を破壊しろ」
「え?」
「もう既に決着はついている。いつまでも敗者を舞台に残す気か。早く幕を下ろせ」
冷たい口調に、どこか優しさをにじませ、目を閉じてフリーダが言った。
「……うん」
レキは、拳を握り、
「たあああああっ!」
それをフリーダの胸に、打ち込んだ――




