ゼプス・キャリバー
「フリーダ! 敵を滅殺しろ!」
「イエス。マイ・マイスター」
フリーダが突進する。
「いくら突っ込んで来たって、その重装ではっ」
鎧が元に戻ったためにフリーダの移動速度もまた元に戻っている。
むしろ大剣と盾を装備したことで遅くなっているとも言える。
例え外装をパージしたところでその二つを持っている以上速さではレキに勝てない。
「そんなことは関係ないな」
「ゼプス・キャリバーよ。その輝きを示せ」
フリーダの手の中で金色の刃の輝きが増した。
目も眩まんばかりの輝光。
「雲を裂き、海を割る、神話最強の剣の威力を受けるがいい!」
「はあああっ!」
裂帛の気合と共に振り下ろされた剣は、その輝きを空中に放出した。
輝きは圧となり、大気を引き裂き、吹き飛ばす。
猛烈な波動は、雷霆にも似た破壊力と爆音を撒き散らした。
空気が焦げる匂いと土煙が辺りに充満し、たったの一撃で大地をクレーターへと変えてしまう。
「そ、そんな……」
「姫様……!」
姫は膝から崩れ落ちた。
威力の、ケタが違いすぎる。
「これでは、レキ殿は……」
「消し炭だろうな。……いや」
バインドはタカラに目を移す。
タカラは、痛みを感じてはいるようだが、耐えられないほどではないらしい。
「ち……あの様子を見るに直撃はしなかったか……ぐ……」
むしろバインドの方が弱っているように見える。
右手の袖からは一条の赤い雫が零れている。
最強の剣の反動は、それだけ凄まじいということである。
煙が晴れた時、一撃の余波で倒れたレキと、剣の反動で右半身に亀裂が入ったフリーダがいた。
「フリーダ! もう一度投入するぞ!」
「ありがとうございます。マイ・マイスター」
バインドは再び素体を取り出し、スタンドものと入れ換える。
それによってフリーダの傷はリセットされた。
「己の腕など気にするな! 倒すまで撃ち続けろ!」
「無茶苦茶じゃ……」
確かにバインドの覚悟は相当なものだ。
だが、もうこれでは神体大戦の意味がない。
神体の出来や戦略を競うのが大戦の本質だが、今のフリーダはもはや神体というよりはただの砲台だ。




