内なる刃
レキは突き入れられる剣を掴み、
「何ですか、こんなもの……苦しい? 笑わせないで下さい」
指先に刃が食い込んでいくが、気にもとめず、
「何だと?」
「あなたに、心臓の鼓動はありますか? 誰かを思って胸が、高鳴ることはありますか?」
痛みで額に汗を浮かべながらも、笑みを浮かべた。
「誰かを思うと、胸がずきずき痛むんです。そんな経験、ないんでしょう? それに比べたら……こんなものっ……!」
「私を愚弄するか!」
更にフリーダは力を込めて剣を抉り込んだ。
だが、何かにぶつかり、それ以上進まない。
ぎり、レキの掌に力が込められる。
「こんなもの……が……なんですかああああああっ!」
「何っ!?」
刃が、押し返される。
「フリーダ、何をやっている! 手を抜くな!」
「も、申し訳ありません。し、しかし全力なのです」
「バ、バカな!」
「ああああああああああああっ!」
「いっけえレキーーーッ!」
レキは剣を弾き飛ばした。
フリーダの腕が跳ね上がり、大きく隙が出来た。
「ふん、だからと言って貴様にはなんの武器も……」
バインドの言うとおり、レキは無手。
武装をスロットから投入する暇はない。
「うああああっ!」
レキは胸の傷口に腕を突っ込んだ。
そして――
ざしゅん!
鋭い刃がフリーダの鎖骨から首にかけてを切り裂いた。
「かっ……は」
「ぐあっ!」
レキの手には、平行四辺形の鋭利な刃物。
「なんだ、と……」
その正体を知っているのは、世界でただ一人、タカラだけだった。
「デザインナイフの……刃? あっ……!」
タカラが道具を整理した時、デザインナイフの刃が無くなっていることに気付いていた。
それは、
「シリコン成型時に混入してたのか……」




