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ガレキ  作者: がっかり亭
33/46

算数

「え?」

 鎧の下から現れたのは、水色のストライプの水着。

 それに留まらず、レキはスパチュラを自分の伸ばした後ろ髪に向ける。

 そして、

「てやっ!」

 後ろ髪を切り落とした。

 ばらりと桃色の髪が広がり、ショートカットとなる。

「それじゃあ、行きますよ!」

 レキはスパチュラでフリーダの剣を受け流すと、素早くその背後に回り込んだ。

「速いっ!?」

 思わずフリーダも目をむいた。

 レキの鎧は、レジンである。

 レジンが何かは知らずとも、前回戦った感触から金属ではないことはフリーダにはわかっており、そしてその口からバインドにも伝えられていた。

 金属でなく軽い材質ゆえ、それを外したところでここまで動きが速くなるなど想定していなかったのだろう。

 流石のバインドも表情に驚きの色を隠せないでいた。

 それが演技でないとすれば、見極めが甘いと言える。

 いくら軽い装甲であろうが、全質量がそもそも軽いのだ。

 つまり、総重量からのパーセンテージで言えば、決して少なくないわけである。

 またレキの髪は、レジン製である。フリーダのそれは、植毛された人の髪であるから切ったとしてさほど軽量化は成されない。

 だがレジンの髪は成形に際してもキャストを大量に使い、重い。ガレキにおいては、あまりにも髪のボリュームがあると自立できなくなるものも多い。

 実際、髪だけでレキの全質量の六分の一近くを占めているのだ。

 全ての髪を切ったわけではないが、それでも相当な軽量化である。同じ割合でフリーダが軽量化しようとすれば腕の一本は落とさねば追いつかないだろう。

 ゆえに、

「くっ……そんなバカな」

 フリーダはレキに全く追いつけない。

 一方的に攻撃を受け続ける。

「たあっ!」

 スパチュラの一撃は、外装のパージで防御力の下がったフリーダを確実に追い詰めていく。

 武装はスロットを介さず、直接素体に持たすことでも装備できるが、特殊効果は発動しない。例えばルーンの札などはただの紙になってしまうわけである。

 しかしスパチュラはもともとただの鉄の塊。

 なんの強化もなく、さりとて劣化もなく、鋭い刃はフリーダの肌を切り裂く。

「よし! これなら行けるぞ!」


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