1/46
プロローグ
まどろむ意識。
世界が回転しているような、浮遊感。
自分でも、今が夢の中だとわかる、そんな感覚。
そこに、声が響く。
「私を……」
女性の、声だ。
若い、女性の。
涼やかな、響き。
誰だろう。
会ったことは、ない。
だけど、どこか懐かしい。
いや、正確には、初めて聞くのにずっと聞きたかったような声だ。
白い。
視界が白い。
上から、光が当たっているみたいだ。
中に、朧げに人影が見える。
「作って……」
声の主は、あの人だろうか。
その姿はだんだんはっきりしてきて――
「私を……作ってくれ」
「君は――」