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畢竟に咲く赤い花  作者: 玲瓏
第一章
13/29

自身

 ここから先の物語は、八条二十、中宮彩香、小原武人、水染奈帆、水染拓也五人から見た水染俊の人間像によって構築されていった、五人の想像する水染俊の世界である。

 水染俊という一人の男が、どうして自殺にまで追い込まれてしまったのか、それを探るための物語である。

 水染俊本人が語る世界ではない。故に、完璧な真実とはいえず、そのほとんどが虚構によって作られたものであろうと言える。

 だがしかし、人間の心というのはそうでもしなければ見えないもの。

 難事件ではたまに、最もらしい証拠を捏造してまで犯人を作り、それを真実として終わる結果を残す場合もある。

 水染俊の物語を自殺の証拠だとすると、五人は例にあげた難事件と同じように、最もらしい物語にして結果を残した。

 奇妙なことに、同じ物語を作ったはいいものの、それが終わると五人は別々の解釈をした。事件は客観的、主観的両方の視点から見ても唯一無二の真実が完成され、人は納得するが、今回、水染俊の心という事件では、客観的に見れば様々な解釈が可能になってしまったのだ。

 水染俊が最後に何を思って死んだのか、その本当の事は誰にも分からない。決めつけてはいけない。それが死者に対する最大の礼儀であると、五人は無意識のうちに理解していたからだ。

 ここから先の物語は、五人の想像する世界の話。様々な調査の上、成立した話。

 六人目。五人を第二者とした時、六人目の人物は第三者として扱われることとなる。第三者は水染俊の事を知らない。第二者目線での解釈と、第三者目線での解釈はまた異なることとなる。

 六人目の人物が何をどう見るか。それは分からない。

 第三者の解釈は、第三者に委ねるとする。八条がそれを許可した。

 ――ここから先の物語の解釈は、第三者に委ねるとする。

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