最終章3 ~たたれぬ風~
後ろの山を焼き払った黒い炎。
そこから感じるのはい色こそ違うものの一真の神力・・・・つまりそこの炎は一真の炎なのだ。
「なんで・・・・」
一真としては信じられないことだ。夜鳥は風を扱う悪鬼だ。炎を使うことなど見たことも聞いたこともない。
しかし今突然、炎を使ってきたのだ。それも一真の神力を帯びた炎をだ。
「ふん・・・・・・扱いがまだ難しいな・・・・・しかし時期になれるだろう」
まるで新しいおもちゃを手に入れたかのように炎を操る夜鳥。
「見ろ・・・・俺の新しい力だ・・・・」
「新しい・・・・力だと!!」
奴が使っているのは紛れもなく一真の炎。それをまるで自分の物のように言うその言葉に何とも言えないは腹立たしさを感じていた。
「ふざけんな・・・・!!それは俺の炎だろうが!!!」
「ああ・・・確かにお前の力だったものだ。しかし今は」
世鳥はその手に炎を作り出す。
「俺のものだ!!」
黒炎の火球が一真を飲み込む。
至近距離の攻撃に、避けることもできない一真はそのまま石ころのように吹き飛ぶ。
(俺の神力から生まれているのに・・・・消すことが出来ない・・・・)
どうやら夜鳥の言うとおり、あの炎は完全に夜鳥の炎として機能しているようだ。その炎の向きも威力も一真の制御を全く受け付けないのだ。
幸いなのは一真自身が炎に体制があったことか。
(だが何故だ。何故奴は俺の炎を・・・・)
自身の手に神力を込めると、いつも通りの紅蓮の炎がともる。
(決して俺の力が奪われているわけではないのに・・・・・奴は俺の力をつかえる!?)
一真の頭の中はとてもじゃないが冷静ではいられなかった。いくら考えたところで頭の中は混乱し、何がなんだかさっぱりわからない。
そんな一真を見上げる夜鳥は、
「ふははは、破壊の象徴たる風、消滅の象徴たる炎、まだまだ力があふれてくる!!これが素戔嗚の力、大蛇の力か!!試したいことが山ほどある!!そしてこの力があれば、断裂の象徴にし、その頂点の武御雷の雷、大国主、地上の権力の象徴ニニギ神、神世七代、別天津神そして三貴神の月読、天照の力すらも手に入れられる!!!」
(何言ってやがる!?・・・・・力を手に入れるだと!?)
動かないからだを無理やりお越し何とか立ち上がる一真。
しかし夜鳥は顔すらむけない。
もはや敵ではない。それが夜鳥が一真に持つ価値観になっていた。ただ、今どこまでの力を扱えるというかの、サンドバックとしてしか見れなかった。
「さぁ・・・・ためさせてくれ・・・・・俺の新たな力を・・・・」
夜鳥が腕を下から上に振るう。
すると、大地を裂く、風の刃が無数に表れる。
「く!!」
自らの体を動かし、炎の力を使ってギリギリで交わすも、
それだけでは終わらない過ぎ去った風の刃が地面を削り取るようにして、折り返して一真を襲う。
「!!」
回避は不可能だった。
その手に炎を集め、渾身の盾を作るも、それすらも、3秒も待たずして吹き飛ばされた。
「ぐがあああああああああああああああ!!!」
風の刃が一真の体を引き裂く。
蹴られた缶のように転がっていく。
(手を・・・・抜いてやがる・・・・・)
その傷を見て、一真は夜鳥の言葉を思い出す。
『ためさせろ、新たな力を』
つまり夜鳥にとって一真は遊び道具でしかないということだ。
「おい・・・・もう終わりか?」
静寂の中でその言葉は異様な力を噴き出している。
「!!」
空から炎の攻撃が迫る。
一真は無理やりにでも刀を振るい、炎斬を放つ。
一真にあたる前でその炎の攻撃と炎斬は爆発する。
(まだ、炎では俺の方が上か・・・・)
何とか膝をついて、立とうとする。しかし、次の攻撃でそんな余裕すら消えてしまう。
夜鳥が、何かを呼ぶように腕をグルグルと回している。
その行為だけで、石が木々が水が風に舞い上げられ一真に襲い掛かる。
一真も再び炎の盾を作る。全神力を込めて、
石が、木々が、水が一真の作り出した炎の盾に触れるだけで消滅する。
それでも一真の顔に余裕は見られない。
質より量。
今の攻撃にはそれがあった。
少しでも緩めればその隙をついて、盾が破られる。
その考えが一真に全力を出させ続ける。
「はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!はぁ!!」
そして体感時間にして数時間にも感じるような一瞬がおわる。
目がかすんでくる。
さっきの盾でほとんどの力を持っていかれた。
「終わりか?家具土よ・・・・・」
「っ!!」
鋭い眼光で夜鳥をにらむも、そんなことなどどうでもいいように夜鳥は続ける。
「では・・・・・終わりにするか・・・・」
すると、夜鳥を中心にしてどす黒い風が集まりだした。
一瞬にして、一真を肉塊残さず消滅させるほどの力を
「よく頑張ったと思うぞ・・・・・しかし残念だったな」
そう告げた後夜鳥は躊躇なくその風を解き放った。
すべてを破壊する黒風が一真を殺す。
しかし、
しかしだ。
一真にあたる瞬間に、その黒風は何かにあたる。
ズババババババババババ!!!!
という破裂するように音を出し、その黒風は数秒後に消え去ったのだ。
「何が・・・・」
諦め下を向いていた一真には何が起きたかわからなかった。
しかし一真は生きている。
ゆっくりと、顔をあげ、その場を見ると一人の男が立っている。
「ひ、響?」
その男は神塚響だった。




