どこまでがお友達ですか?
確かに言った、お友達からって。
だけどさぁ!それは決してつき合おうとかそれを前提にとか言う事じゃないのに。
「あーりさちゃん!一緒に帰ろー!」
「う、うん」
どこまでがお友達ですか?
あの告白、そう、生まれて初めてされた告白に返事をしてから、私の毎日はがらりと変わった。
ここでポイントになるのは、決して返事が YES ではなかった事。むしろ NO 寄り?
なのに、まず一つ、私の周りからは友達が消えた。
もちろん悪い意味じゃなく、禅君が私を色んな事に誘うから、皆気を使っているだけ...でもね?!
私をこの人と2人にしないで!!
禅君は不良だけど、怖くはない。怖くはないけど!!
顔がいいから(しらなかったけど、ギャル系女子の間では観賞用として人気らしい)じぃーっと見られるとどぎまぎしてしまう。
落ち着いてお弁当も食べられない。
この前、大好きな餃子を落としてあからさまにがっかりした私を見て、
禅君がコロッケを私の口に突っ込んだ。禅君のお箸で。つまり間接キス。
ソレに気づいた瞬間、コロッケが喉に詰まりそうになったけど、禅君も顔赤くしてるもんだから、不覚にも可愛い、なんて。…人種が違う!...きがする。
そしてもう一つ。私のそばにはいつも禅君。なぜか。
これもうあの時答えが YES でも変わらなかったんじゃないかなと最近思う。
朝の登校はかろうじて一人。お弁当は一緒。休み時間はよく一緒。
帰りはもちろん一緒。だけど、家までは来てもらわずに途中で分かれるようにしてもらってる。だって流石の禅君も怖がっちゃうんじゃないかと思って、アレは。
「じゃあ、ありさちゃん、気をつけてな」
「うん。じゃあね禅君」
こうして私はいつものように家に向かい、合鍵でドアを開ける。
開いた先で私の目に映ったのは、お父さんにジャーマンスープレックスをかけようとして背後からお父さんに飛びつくお兄ちゃんの姿だった。
家の男性陣はプロレスラーです。