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勇者パーティーの賢者。

___ルーン迷宮 第32層


「カイト!! そっちに魔物が行ったぞ!!」


「OK!! こっちは俺がやる!!」


「あぁ、頼んだぞ!!」


 剣の斬撃と、様々な魔法が階層を飛び交う。


「っ!! ロイ!! 魔物がまた来たわ!!」


「何!? ……ユイカ! ポーションの貯蔵は!?」


「さっき皆さんにかけたので最後です……!」


「ここが限界か……皆、撤退だ!! クルミは煙幕を! カイトは魔道具の起動!」


「言われなくても!」


「わかった! みんなこっちに!!」


 ボンッ! という音とともに白い煙が魔物たちの視界を遮る。


 その間に僕は魔道具を起動。僕たちの周りを白い魔法陣が囲う。


 「リターンテレポート!!」


 その言葉と光と共に、僕たちの姿は32階層から消えた。


____ルーン迷宮 5層


 32階層から戻ってきた僕たちは地上に向かって歩いていた。


「皆、お疲れ。今回は結構いいところまで行ったね」


 そう言ったのはロイ。勇敢のエンブレムに選ばれた、俗に言う勇者だ。


「そうね。まぁまぁにいい収穫なんじゃないかしら?」


 強気な口調の彼女はクルミ。策略のエンブレムに選ばれ、マッピングやトラップの設置など、盗賊としての役割を担っている


「うぅ……ポーションの貯蔵がもうちょっとあればなぁ……」


 弱気な口調の彼女はユイカ。錬金のエンブレムに選ばれ、仲間へのバフ掛けや、敵へのデバフ掛けを行う、ポーション使いとしての役割を担っている。


「今さら悔やんでもしょうがないわ。あんたもよくやったわよ」


「っっ……! クルミちゃん……ありがとぉぉ!」


「ちょっと! 泣きながら抱きつくんじゃないわよ歩きにくいでしょ!!」


 そんな二人を前に歩いていると、ロイが近づいてきた。


「はは……彼女たちは相変わらずだね。カイトもお疲れ様。いつも助けられてるよ。君の魔法と魔法具には」


「役職通りのことをやってるだけだ。大したことじゃないよ」


 僕は叡智のエンブレムに選ばれ、賢者として、魔法での攻撃や、魔法具によるサポートを担っている。


「それにしても、いつ使っても便利ね。あなたの転移魔法具」


 泣きついてるユイカを剝がしながら、クルミが言った。


「そう言ってもらえると、こちらとしても作ったかいがあるよ……とは言っても、この主装置を転移したい場所に置いてこないと使えないんだけど」


 収納魔法から円柱型の装置を取り出しながら、僕は言った。


「転移魔法なんて使いこなせるの……カイトさんくらいですよ」


クルミから引き剥がされたユイカが、涙を拭きながら言った。


「使いこなしてるわけじゃない。ただ魔法具で転移場所を絞り込んでるだけだよ」


 転移魔法は扱いが難しい。発見されたのはずいぶん前だが、誰も使いこなせず、僕も魔法具に頼って使用している。


「それでも、よくそんなもの思いつくね。僕にもその発想力を分けてほしいくらいだ」


 そんな会話をしながら、僕たちは地上に戻った。時刻は夜。空はとっくに暗くなっている。


「そういえば、知ってる? 最近、王国内で暗殺事件が多くなってること」


「そうみたいだね。しかも、殺された人たちは、裏社会に関与していたことが後の調査で分かっているらしいしね」


「でもそのせいか、一部の人たちからは"夜の英雄"って呼ばれてるらしいですよ……。やってることは、人殺しなんですけどね……」


「……」


「さて、そろそろ町に戻ろうか。今日は十分だろう」


「そうね。戻って美味しいものでも食べましょう」


「賛成です! 最近新しいお店ができたらしいので、そこに行きましょう!」


「相変わらずそういう情報は早いわね……」


「……ごめん。これから別の用事があるんだ。僕は帰るよ」


「おや、そうなのかい? じゃあまた」


「お疲れ様、カイト」


「お疲れ様です!」


「あぁ、お疲れ。それじゃ」

こんにちは。こんばんは。あかなおと申します。

学生の身分なので投稿は不定期になるかもしれません。ごめんなさい。

なるべく早く更新していこうとは思っていますのでよろしくお願いいたします。

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