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年下のユニコーン獣人が私の婚活の邪魔をしていたって本当ですか?!  作者: 志熊みゅう
第二章 求婚

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8. 捜査

「そういえば、姉上の元婚約者といえば、メルカド家の魔石の件はさすがにおかしいって、父上が全力で調べていますよ。」


 オスカルが訝し気に言った。メルカド伯爵家はクラウディオの家のことだ。


 魔石は魔力がない人間が魔法を扱うのに必要な魔力源だ。これは一部の鉱山でしか手に入らない希少なもので、クラウディオの領地には豊富に魔石が採れる鉱山があった。なのに何故、突然隣国から取引を打ち切られたのか。あの話を聞いた時、正直意味がよく分からなかった。


「そうよね。魔石は貴重なはずなのに、向こうから取引を切られるなんて。」


「クラウディオ様の経営手腕は父上も認めたものです。でもうちが支援を始めてからも、徐々に借金が増えているのはどう考えてもおかしいです。実は父上が怪しんで、密かに送り込んだスパイに調査をさせています。もしかしたら、内部に裏切り者がいるのかもしれませんね。」


「裏切り者ね……。」


 若くして領地を引き継いだのに、笑顔で領民の話を聞き、時に頭を下げ、ひたむきに領地運営に取り組んでいたクラウディオの姿が目に浮かんだ。


「昔から思っていたんですが、姉上の婚約者の周りっておかしな話が多くないですか?」


「まあ普通、5回も婚約破棄にならないしね。」


「父上にいって、ロレンシオ様のことも調べて頂きませんか。せっかく答えを保留にしている訳ですし。」


 2度あることは3度ある。ならば5度あることは6度あるかもしれない。


「そうね。そうしましょう。お父様が帰ってきたら相談するわ。」


 その後、アイナ嬢はディナーの間中、ロレンシオのイケメンぶりや学園内でのモテ男ぶりを、懇切丁寧に説明してくれた。学園にはファンクラブまであり、なんとロレンシオとすれ違っただけで気絶する女子生徒までいたそうだ。――でもどんなにかわいくて、家柄いい令嬢からアプローチされても、彼は決して誰にも靡かなかったという。


 夜遅くに帰宅した父に、先ほどの話をした。


「アルバ家は、メルカド家とは違って公爵家だ。潜入捜査は難しいかもしれないが、私も協力するよ。他にも私に役立てるところがあったら、遠慮なく言ってくれ。」


「お父様、ありがとうございます。」


 母上が亡くなってから、父は前よりもさらに家族のことを大切にしてくれるようになった。婚約が破談になっても父や弟のオスカルがいる。心強い味方の存在に、肩の力が抜けた。

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