絶望の牢獄:魔刻印者たちの叫び
メルギド博士は、レオンを手術台に縛り付けると、おもむろにレオンの右手を掴んで引き寄せた。
博士の手の中には、赤い文字がたくさん刻まれている漆黒の魔昌石が握られていた。その魔昌石をレオンの右手に強く押し付けると、聞きなれない呪文を詠唱し始めた。
「ディメンショナル・グリモワール・シギル・アルカン…。」
「うう、この感覚は!」
レオンの顔が一気に歪んだ。
レオンの右手に想像を絶する激痛が走ると、深紅の光が周りに飛び散った。
「うあーーー、痛いよ!」
レオンが叫び出すと、メルギド博士は恐ろしい微笑みを浮かべながら、
「ううん、良い感じですよ…。」
と呟いた。
魔昌石を外すと、レオンの右手にはくっきりと新しい魔法陣が真っ赤に刻まれていた。
レオンは傷ついた右手を押さえたいが、縛られていて動けないので暴れていた。
「これで、終わりですか?」
レオンは懇願するようにすがった。
「いいえ、まだまだ、行きますよ!」
博士の恐ろしい笑顔がくっつきそうなくらい近づいてきた。
そう言って発狂したように笑いながら、新たな魔昌石を用意すると、レオンの左腕と右腕にも処置を施していった。
レオンの両腕は血まみれになり、あまりの激痛にすでに感覚は全くなかった。
レオンは血まみれの両腕をだらりと垂らしながら、さっきの牢屋へと戻された。
目は虚ろで、口は半開きになり、ヨダレが垂れていた。
「レオン、大丈夫?」
リナが近寄って身体を横にしてくれた。
「あああ…あああああ…。」
レオンは言葉にならないことしか言えなかった。
「ひどいことするわね、一度に三ヶ所も…。」
リナの目は新しい魔法陣に釘づけで、狂気にも似た感覚を受けた。
レオンはその目に恐怖すら感じていた。
以前はハーベルがすぐに手当てをしてくれたからそうでもなかったが、ここではポーションすらないので、三日三晩痛みに苦しめられた。
「ほら、手を出して…。」
リナがその間、水魔法とボロボロの布で滲んだ血を拭いてくれていた。
そして、また、あの目だ…。
「あ、ありがとう…。」
レオンはまだ力が入らず、腕をあげることもできなかった。
「あれ…なんか、魔力量が増えている気がする…気のせい?」
レオンは小さく呟いた。
•••••••••
僕の属性は闇だ!固有スキルの「分解」の他に、レアスキルの「隠蔽」スキルを持っていたが、こんなスキル一生使うことはないと思って過ごしていた。
•••••••••
「では、遊戯の時間です!」
静寂を切り裂くように、メルギド博士の声が放送で響き渡った。
次回 囚われの遊戯:魔刻印者たちの試練
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




