禁忌の研究:メルギド博士と消えた少年
「ああ、また、失敗か…。レオン!そこのゴミを片付けておきなさい!」
「分かりました。メルギド博士!」
『なんと!レオンは、生きていた! 』
ここは、王立魔法学院の旧高等部の地下に存在している秘密の施設で、【魔法陣使い】であるメルギド博士が、【MACOK】の研究を秘密裏に行っていた。
•••••••••
僕の元の世界の生活は、最悪な人生だった。
僕の名前は、レオン!
こちらの世界では、12歳になるようだ…。
元の世界では、ろくなことがなかった…。
早くに両親を亡くして、親戚の家をたらい回しにされたあげく、行き着いたのが養護施設だった。
結局そこでも上手く行かず、犯罪に手を染めてしまい、少年院行きというような、最低の人生だった。
少年院から出たあとも、昔の悪い仲間に誘われていた。
「おい、早く逃げろ!」
「ええ…。僕たちは?」
「知るか!お前ら足手まといだから、置いていく!」
「そんな…。いや、待てよ!」
僕と一緒に連れてこられた奴も置いてけぼりを食らっていた。
主犯格の男は、僕の前にナイフを一振すると、素早く裏口から逃げてしまった。
「お前たちは、包囲されている!観念して出てきなさい!」
警察に囲まれて逃げ場はなさそうだった。
「おい、どうする?」
「くそ…。何でいつもこうなんだ!」
僕は、隣にいるコイツと一緒に、宝石店の強盗に誘われて、のこのことついてきてしまった。あげくにこの様だった。
「動くな!」
警察が拳銃を構えて威嚇してきた。
僕たちは震えて両手をあげていた。
「おい、逃げるな!」
急にもう一人の仲間が、裏口へ走り出した。
「ええ?」
僕は、呆気にとられたが、足が勝手に走り出していた。
パン、パン、パン…。
乾いた銃声が、三発響き渡った。
僕は、背中に生温かいものを感じて、前のめりに倒れ込んだ。
「ああ…。これで楽になれる…。」
そう思った瞬間。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「レオン、12歳のお誕生日おめでとう!」
「ええ…。どこ…。」
「レオン、どうしたの?」
「いや、どうもしないよ…。あ、ありがとう!」
「うん、変な子ね…!」
こちらの世界のお母さんのようだ。
「大丈夫か?」
「はい!」
お父さんが優しく肩に手を置いた。
「これって…。転生ってやつか…。」
レオンは小さく呟いた。
「明日から中等部ね!」
「また、ハーベル君と一緒だといいな!」
両親は楽しそうに入学の話をしていた。
この世界では、王立魔法学院というのがあって、みんなが当たり前のように魔法を使えるようだ。
ハーベルとは、とても仲がよくていつも一緒に遊んでいた。
あの運命の日も…。
悪魔召喚の儀式を目撃してしまったあの悪夢の日を…。
それからは、悪いことが立て続けに起こって、例の【MACOK】のメモを拾ってしまったのが運の尽きだった。
すべて、ハーベルのせいだ…。
でも、親友のハーベルは失いたくない…。
•••••••••
「レオン、グズは要りませんよ!」
「すいません!マスター!」
レオンは、メルギド博士のもとで、助手のような仕事をさせられていた。
実は、レオンの失踪事件の死体は、メルギドの作った精巧なダミーで、他の生徒の死体と入れ換えてあったのだった。
次回 絶望の魔法陣:逃れられぬ運命
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