戦慄の刻:サリエルの宣告!
ハーベルたちは60階層にたどり着いた。
そこはまるで豪華な城の中のような、絢爛な廊下がどこまでも続いていた。
「ここ、一体どこなの?」
困惑するハーベル。
その瞬間、空気が一変した。
ビ…ビビ…ビ…ビビビビ…。
重々しい魔力に押し潰されそうになり、三人はその場にへたり込んでしまう。
「なんて禍々しい魔力…。」
クラリッサが頭を抱え、震えだした。
ゾワゾワ…ゾワゾワ…ゾワ…。
今度は背筋が凍るような悪寒が走り、恐ろしい存在の気配を感じる。
「やめてくれ…。」
ハーベルもまた、恐怖に顔を歪めた。
リーフィアがなんとか力を振り絞り、二人を無理やり立たせる。
「ハーベル、飛ぶわよ!」
二人はテルミットを掲げる。
だが、発動しない。
「う、嘘だろ…。」
ハーベルは瞬時に零式を発動させ、裂け目を開く。
二人を押し込み、自身も雪崩れ込むようにしてなんとか脱出した。
「はぁ、はぁ、はぁ…あれは一体…。」
ハーベルはそのまま意識を失った。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「おい、今、人間がいただろ!」
「ああ、ダークエルフもいたな!」
ハーベルたちが逃げるのを目撃した中級悪魔たちが騒いでいる。
「サリエル様に報告だ!」
「ああ、報告だ!」
悪魔の一人がサリエルの元へ急いだ。
「サリエル様、報告です!」
「何事ですか、うるさいですね!」
不機嫌そうなサリエルは、
「あなた、消えなさい!」
そう言って、報告に来た悪魔を跡形もなく消し去った。
もう一人の悪魔がゴクリ…と唾を飲む。
「お、お待ちください!報告が!」
「何ですか!」
サリエルの苛立ちが頂点に達していた。
「60階層に人間が二人とダークエルフが侵入しました!」
「それで?」
「あ、ええ、に、逃げられました…。」
「死になさい!」
「うわぁぁぁ!」
「うるさい、うるさい!」
「そこのお前!」
横に控えていた悪魔を呼び出す。
「そいつら三人をこの目の前に連れてきなさい。もしできなかったら、わかりますね?」
サリエルの氷のように冷たい目がキラリと輝いた。
ゴクリ…。
「は、はい!ただ今!」
その悪魔は、サリエルの怒りを肌で感じ取り、全速力で走り出した。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「ハーベル、大丈夫?」
クラリッサが泣きそうな顔でハーベルの頭を撫でていた。
「ここは…。」
「最初に来た、雑貨屋だよ。」
リーフィアがハーベルの体を起こしながら言う。
「どうじゃ、大丈夫かのう?」
店主も心配そうだ。
「えらい目にあったようじゃな、悪魔でも見たか?」
「ひぃぃぃ!」
その言葉に、三人は恐怖を思い出し、ガタガタと震えだす。
「あれはヤバすぎる…。」
「ヤバいどころじゃないわ…。」
「ヤバすぎます…。」
「なんとなく強くなった気でいたけど、全然ダメでしたね…。」
ハーベルが悔しそうに言う。
「いや、あれは仕方ないわ…。」
クラリッサも同意する。
「あんな魔力にあてられたら、こうもなりますよ…。」
「くそー!」
悔しさをにじませながら、ハーベルは拳を握りしめた。
「店主、ありがとうございました。」
さすがに野宿する気力もなく、三人は街で宿を取ることにした。
クラリッサが気を利かせて、悪魔についての聞き込みに行ってくれていた。
「どうだった、クラリッサ!」
「はい、師匠。この辺では悪魔はほとんど見られなかったらしいのですが、ここ数年で悪魔に関する事件が多発しているそうです。」
「そう…ありがとう。」
「あと、見かけるのは下級か来ても中級までだそうですが、近くにある遺跡で街の人がさらわれ、生贄にされて悪魔がさらに召喚されている、という噂も…。」
「マジか…最悪だな…。」
ハーベルは怒りを露わにした。
「師匠、もっと強くなりたいです!」
「そうね、私も甘く考えていたわ。反省ね!」
「はい!」
三人は手を固く取り合い、強敵に立ち向かうために、より一層の力を手に入れることを強く誓った。
次回 シーズン3 【魔刻印者編】(計画)
禁忌の研究:メルギド博士と消えた少年
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頑張って続きを書いちゃいます!




