退屈な日常と錬金術
その日も、いつも通り退屈な朝だった。
まっすぐ続く並木道を爽やかな風が吹き抜け、朝の日差しがほどよく照らしていて、まさに平和そのものだった。
「おはよう!」
幼馴染みのアンナが元気よく挨拶をしてくれた。
「おはよう!ふあーー!」
俺はアンナに挨拶を返すと、つい大きなあくびをしてしまった。
「眠そうね、ハーベル!」
「うん、昨日の夜遅くまで魔法の勉強してたからね…」
「またまた、どうせ変な本でも読んでたんでしょ?」
「バカ言うなよ!俺はそんなの…」
こんな感じで、平和な会話からいつもの朝が始まる。
元の世界で27歳だった自分にとって、学院の授業は当然ながら簡単すぎて、非常に退屈な時間だった。
「今日の授業って何だっけ?」
「ええっと、最初は薬学実技じゃなかったかな?」
アンナが鞄をあさりながら時間割を確認してくれた。
しかし、実技の授業といえば、それまでの授業とは一味違っていた。
「はーい!皆さん、静かにしてください!」
アリーナ先生が手をパシパシと叩きながら、みんなを静かにさせた。
「今日の薬学実技の授業では、【ライフポーション】を実際に作ってみましょう!」
この世界の薬は、薬草や鉱物を素材にして経験則に基づいて作られており、いわゆるポーションという形で完成する。
本来、魔法の力を使って作成するため、鉱物を砕いたり加熱したりする必要はないのだが、中等部ではまだそこまでの技術がないため、実際に手作業で行う必要がある。
だが、自分にとっては、これがむしろ錬金術のようで楽しみだった。
「材料は行き渡りましたか?」
「はーい!」
「では、ハーベル!【ライフポーション】のレシピを教えてください!」
「はい!」
俺は立ち上がり、杖を構えて教室前の黒板に向かい、解答を書き始めた。
「はい、よくできました!」
アリーナ先生は手をパシッと叩いて褒めてくれた。
「皆さん、ハーベルが書いてくれた素材を準備してくださいね。始めは何からでしたっけ?」
アリーナ先生がみんなを見渡しながら問いかける。
「では、レオン!次はどうするんでしたっけ?」
「はい…」
レオンが少しもじもじしていると、
「レオン、生命の石を砕いて粉にするんだよ!」
俺はつい見かねて、小声で横から口を出してしまった。
「ああ…生命の石を…砕きます…粉にします!」
レオンは何とか解答することができた。
「はい、その通りですが、横からチャチャを入れないでね!」
「はーい」
ハハハ…
みんなの笑い声が教室中に響き渡った。
「ごめん、ハーベル!」
レオンは罰が悪そうに小声で謝ってきた。
「へへへ…怒られちゃった…」
俺はそんなことを気にせずに、楽しく授業を受けていった。
次回 光の血統に刻まれし力
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頑張って続きを書いちゃいます!