医術師見習いとネクロマンサー見習いの挑戦
そこは、廃棄された工場跡のように、錆びた金属がそこらじゅうに散乱し、パンクな雰囲気が漂う場所だった。
「56階層か。なんか錆び臭くて嫌な感じですね。」
「そうね。」
リーフィアはハンカチで鼻を覆っていた。
「あ、そこ、飛び出ているので気をつけて!」
「あ、はい!うう、痛てて…。」
「クラリッサ、大丈夫?」
「ええ、たいしたことありません!」
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うわあ、足を傷つけちゃった…。でも、このくらいで迷惑かけられないから、後でレストレーションでもかけておこう…。
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クラリッサは、迷惑をかけたくなくて、そのことを黙っていた。
「ハーベル、ネクロマンシー試してみたら。」
「はい!クラリッサ、みてくれる?」
「分かりました!」
「うわあ、蛇がうじゃうじゃいますね。」
「最悪…。」
「雷鳴:第5応用魔法!ハイパラライズ!」
ハーベルが広範囲で蛇を痺れさせ、すべてネクロマンシーで味方にしてしまった。
「よし、どんどんかかれ!」
はしゃぐ子供のようにハーベルが階層を進めていった。
「クラリッサ、どうしたの?」
リーフィアがクラリッサの異変に気づいた。
「クラリッサ、診せて!」
ハーベルが膝枕でクラリッサを寝かせ、バイタルを確認した。
「不味いな。どこか怪我してない?」
リーフィアがクラリッサの身体を確認すると、足に傷があり、かなり腫れていて、熱も持っていた。
「この傷、さっきの?」
「はい、ごめんなさい…。」
「いいんだよ、今、治すからね!」
「師匠、不味いです。破傷風かも…。」
「破傷風って感染?」
「はい。外見の傷と破傷風の毒素は魔法で治せるんですが、菌を殺さないとまた熱が出てきて化膿してきます…。」
「そんな、この世界に抗生物質なんてないわよね。」
「はい…。ああ、この間、図書館で試しに作ったペニシリンがあった!ああ、でも、まだ用量の確認ができてないから…。服用量が確定できないや…。」
「一か八か…。」
リーフィアが懇願するように言った。
「いや、一か八かで薬は使えません!」
「そんなこと言っても…。」
リーフィアが考え込んでしまった。
「すでに、物質化できるのよね?」
「はい。じゃあ、魔法として使用すればいいんじゃない?」
「なるほど、その手があったか!」
「クラリッサ、楽にして!」
ハーベルがクラリッサの傷口に手を当てた。
「光:第7上級魔法!セレスティアル・レストレーション!」
「光:第2見習い魔法!ハイアンチドート!」
「薬剤:第4応用魔法!ペニシリアンキュア!」
ハーベルが連続で詠唱すると、傷はみるみるきれいに塞がり、毒素も完全に抜け、破傷風菌も完全に死滅させた。
「光:第4応用魔法!リフレッシュ!」
「光:第3見習い魔法!リゲイン!」
さらに、魔力回復と体力回復もかけた。
クラリッサの顔は、汗が引いてきて、顔色もよくなってきた。
「薬剤魔法が効いたみたいです!」
「ハーベル、凄いわね…。新しい魔法を確立するなんて…。」
「いや、今たまたま思いついただけです。師匠がいなかったら、すぐに気がつきませんでした!」
「よかった!」
「ああ、ハーベル、師匠、わたし…。」
クラリッサが気がついた。
「クラリッサ、横になっていなさい!」
「はい…。ハーベル、ごめんなさい…。」
「今度からは、小さな傷でもすぐに教えてくださいね!」
「分かりました…。」
クラリッサは、可愛らしく小さなベロをちょこんと出した。
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ハーベル ♂ 【医術師】【ネクロマンサー見習い】
種族:ヒューマン
武器:【シックスセンス】【海賊ナイフ】
魔法属性:全属性
固有スキル:「統合」「破壊」「精製」「合成」「構築」「解析」「分解」
獲得スキル:「設定」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」「蘇生」
光:上級魔法9 神聖:応用魔法6 薬剤:応用魔法4
闇:上級魔法7 虚空:応用魔法4
炎:上級魔法7
水:上級魔法8
風:上級魔法8 雷鳴:応用魔法5
土:上級魔法8
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「ハーベルも、立派な医術師ね!」
元気になったクラリッサがハーベルに嬉しそうに抱きついた。
「まだまだ、新米ですけどね…。」
ハーベルも嬉しそうに微笑んでいた。
次回 戦慄の刻:サリエルの宣告!
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頑張って続きを書いちゃいます!




