闇の神殿、最後の試練
「ハーベル、神器を試してみたら!」
リーフィアが目を輝かせながら言った。
「じゃあ、二人とも俺につかまって!」
ハーベルがそう言うと、クラリッサとリーフィアは彼にしがみついた。
「零式!」
空間を切り裂くようにハーベルが手を振ると、目の前に亀裂が生じ、異なる景色が覗く。
「あ…転移魔法じゃないから、つかむ必要なかったですね…。」
クラリッサとリーフィアは気まずそうに身なりを整えた。
「オホン…。」
リーフィアが咳払いをし、先に亀裂の中へと足を踏み入れる。クラリッサも続いた。
「すごい神器だね!」
ハーベルが亀裂をくぐると、背後の空間が自然に閉じた。
「術者が最後に通ることで確実に閉じる仕組みみたいね。でも、イメージさえできれば距離の制約がないなんて驚きだわ!」
「でも、設定次第で誰でも使えるテルミットの方が、利便性では上かも!」
ハーベルはテルミットを取り出して見せた。
「ありがとう、ハーベル!」
リーフィアが嬉しそうに微笑んだ。
「ちょっと相談があるの!」
リーフィアが急に真剣な表情をした。
「次のボス戦が終わったら、闇の神殿の攻略はここまでにしようと思うの!」
「了解しました!」
「そうなると…クラリッサはどうする?」
「郷に帰るの?」
「いいえ、しばらく戻る気はありません!師匠たちについていきます!」
「そう、嬉しいこと言ってくれるわね!」
リーフィアが優しくクラリッサを抱き寄せた。
「じゃあ、明日がラストアタックね!」
「うん?」
クラリッサが首をかしげた。
「そういえば、クラリッサに聞きたいことがあるんだった!」
ハーベルが思い出したように言った。
「何ですか?」
「ダークエルフなら知ってるかもしれないと思って…召喚の仕方って分かる?」
クラリッサの表情が険しくなる。
「召喚ですか…あまりおすすめしませんが、一般的には魔法陣を介して行われます!術者一人では魔力量が足りないことがほとんどなので、数名から数十名で行うこともあります!」
「召喚対象にもよりますが、生け贄や供物を要求されることが多いです!術者の命を奪うこともあるので、十分な注意が必要です…。」
クラリッサは嫌そうな顔をした。
「それじゃ…魔法陣を詠唱や魔力なしで発動させることは?」
「ああ…【魔法陣使い】の話ですね!基本的には無理ですが、何らかの方法で他人の力を奪うことができれば、可能かもしれません!」
クラリッサは含みを持たせた言い方で話を終えた。
「ところで、聞き慣れない言葉や道具がたくさんあって、気になっていたんですけど…。」
クラリッサが不思議そうに言った。
ハーベルが師匠に目で合図を送る。
「そうね…。」
リーフィアは、これまでの経緯と自分たちが転生者であることを詳しく説明した。
「俺は一度見たスキルを獲得する力があるんだ!」
「ってことは…『蘇生』スキルも?」
「ああ、見習いだけど、ネクロマンシーも使えるはずだ!」
クラリッサが寂しそうに俯く。
「私は…もう必要ないのですね…。」
「違うんだ!」
ハーベルは慌ててクラリッサに訴えた。
「いろいろできるからって、一人でどうにかなるわけじゃない!師匠とクラリッサが俺にそれを教えてくれたんだ!俺のすべてを知った上で、それでも一緒に戦ってほしい!」
「じゃあ…ついていってもいいの?」
「もちろん!むしろ、こっちからお願いしたいくらいだ!」
「ありがとう…!」
「こちらこそ!」
二人は固く握手を交わした。その上に、リーフィアがそっと両手を重ねる。
「これで、一件落着ね!」
次回 医術師見習いとネクロマンサー見習いの挑戦
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