魔導書の秘密:ハーベルが見た闇の真実
「ただいま、帰りました!」
「お帰りなさい!」
リーフィアが忙しそうに料理をしながら振り返り、笑顔で迎えてくれた。
「もう少し夕飯までかかるから、少し時間を潰していて!」
「分かりました!」
ハーベルは先ほど手に入れた気味の悪い本のことを思い出し、興味が再び湧いてきた。
彼は自分の部屋に戻り、袋からその本を取り出してみた。
その表紙は触り心地が悪く、薄い何かの皮で覆われている。
さらに、中央には鋭い眼を模した飾りがあり、その眼光は不気味で闇の中からこちらを覗いているように感じられた。
まるで生きているかのような存在感を放っている。
「キモっ!でも中がどうしても気になる…。」
ハーベルは恐る恐るその本の表紙をめくる。
すると、予想していた通り、【魔方陣使い】についての魔導書だった。
その魔導書には、不気味で胸くそ悪い内容が綴られており、読めば読むほど不快感が募る。しかし、国立魔法図書館で見た同類の本よりもはるかに詳細に書かれていた。
相変わらず、あの不気味な心得から始まっている。
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魔導書の内容……。
特に【MACOK】についての章は具体的で、なぜ【魔方陣使い】にとってそれが必要なのかが明確に説明されていた。
【MACOK】を作り出すためには、自分の魔力と命が必要だと記されている。「魔力」は自身の総魔力量の一部を使うことを意味し、「命」は寿命が短くなることを指している。
そんな犠牲を払ってまで【MACOK】を作る理由は解明されていなかったが、補うための手段が述べられている。それが、いわゆる【餌】用の【MACOK】の存在である。
【魔方陣使い】は、魔力と命を【MACOK】から吸い取ることができる方法を有していると記されていた。この記述は読む者に恐怖と嫌悪感を与える内容であった。
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「くそ、こんなおぞましいことにレオンを巻き込みやがって!絶対に許さない!」
ハーベルは怒りで拳を握り締めた。
彼の心の中で【魔法陣使い】への憤りが膨らんでいく。
魔導書を読み進めていくうち、ハーベルはさらに驚くべき記述を発見した。それは、【魔方陣使い】の起源と、彼らが持つ独特な力についての真実だった。
【魔方陣使い】は、太古の昔に存在したとされる「魂喰らい(ソウルイーター)」と呼ばれる種族の末裔であり、彼らは他者の魂を喰らうことで自らの力を増幅させ、永遠の命を得ていたという。
さらに、魔導書には【魂喰らい】の王の名が記されていた。
その名は、メルギド…。
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ハーベルは心臓を掴まれたような衝撃を受けた。あのメルギド先生が【魂喰らい】の王?
そして、彼が【魔方陣使い】であると同時に、【MACOK】から命と魔力を吸い取って生き延びていたとでもいうのか?
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「まさか…そんな…メルギド先生が…?」
ハーベルは信じられない気持ちで、その記述を何度も読み返した。しかし、そこに書かれている事実は揺るぎなかった。
メルギドが【魔方陣使い】として【MACOK】を作り、【MACOK】から魔力と命を吸い取っていた。
彼の言動の全てが、この魔導書の内容と結びついていく。
「メルギド…お前は、一体何を…。」
ハーベルは激しい怒りと共に、深い悲しみに襲われた。
魔法学院高等部で教えを乞うていた、あのメルギド先生が、実は恐ろしい秘密を抱えた存在だったなんて。
しかし、この内容をリーフィアには伝えられないと固く決意した。彼は深い溜め息をつき、魔導書をしまい込んだ。
夕食の席では、リーフィアが明るい表情で話しかけてきた。
「ハーベル、どうだった?」
「ええ、結構いい値段で売れました!このお金は師匠に預けておけばいいですか?」
「いいえ、お金は要らないわ。ハーベルが稼いだんだから、自分で持っておきなさい!」
「分かりました!」
ハーベルはリーフィアの気遣いを感じながら、料理を美味しそうに頬張った。
リーフィアもそんな彼の様子を嬉しそうに眺めていた。
しかし、その一方でハーベルは心の奥底にある怒りと秘密を抱えながら、彼女に悟られないよう注意を払った。
そしてその夜、彼は不安と怒りの狭間に揺れながらも、静かに眠りについた。
次回 不屈の決断:燃え上がる希望!?
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