勇者と師匠の激闘:25階層の海賊王
翌朝、なんとか気を取り直したハーベルたちは、すでに25階層のボス部屋の前までやってきていた。
「また、ボスですね!」
「次のマークは、ドクロ?!これって、まさか…。」
「なるほどね……。」
ハーベルは念入りに扉を調べ、「把握」スキルを使って罠を探ったが、それらしきものは見当たらなかった。
「もしかすると、また物理トラップがあるかもしれません!テルミットですぐ退避できるよう準備を!」
「分かったわ!」
リーフィアが頼もしそうにハーベルを見つめる。
「では、行きます!」
ハーベルがボス部屋の扉を開けると、扉はすぐに閉まり、再び開かなくなってしまった。
「やはり、物理トラップは見抜けないようです……すいません……。」
「それはいいわ。それより、あれを見て!」
リーフィアが指をさした。
「やっぱり、海賊か!」
ハーベルが奥を見ると、部屋の中になぜか海賊船があり、ドクロの旗が風になびいていた。
「なんで、ここで海賊なんだか……。」
「そんなこと言ってないで、敵が来るわよ!」
「はい!」
スカルキャプテンが剣を振り上げると、どこからともなく骸骨戦士や骸骨船員がわいて出てきた。
「うわ、またわいてきたな……。」
ハーベルは嫌そうな顔をしてシックスセンスを構える。
「ハーベル、ここからは、私も戦闘に参加するわ!」
「ええ、師匠まで!」
リーフィアは前回の件もあり、戦いたくてウズウズしているようだった。
「了解!援護よろしくお願いします!」
「了解!」
リーフィアは大きなスタッフを天に掲げ、力強い声で詠唱した。
「セレスティアル・スピアーズ!」
無数の光の槍が骸骨戦士たちを貫いていく。それでも骸骨戦士たちは怯むことなく突進してきた。
ハーベルはシックスセンスを光の銃のような形に変化させ、構えた。
「ラディアント・バレット!乱れ撃ち!」
彼は連射で骸骨戦士の頭を正確に撃ち抜いていった。
カッ、カッ、カッ、カカカカッ!
スカルキャプテンが笑っているように、カタカタと音を立て始めた。そして、船を思い切り面舵に切り始めた。
「うわーー!」
すると、部屋全体が右に傾き始めた。
「師匠ーー!」
ハーベルが柱にしがみつきながらリーフィアに向かって叫ぶと、
「どうしたの?」
リーフィアは平然とホウキに乗って浮いていた。
「師匠……。」
ハーベルは寂しそうな顔をしながら、自分の絨毯に飛び乗った。
部屋の右側に骸骨戦士や船員たちがガラガラと音を立てながら積み重なっていく。
「あらあら、ラッキーね!」
「セレスティアル・ブラスト!」
リーフィアが美しい声で詠唱すると、巨大な光の岩が召喚された。
「ほいっ!」
リーフィアがスタッフを軽く振ると、光の大岩がすさまじい勢いで骸骨たちを粉々に潰していく。
ギョエーーーー!
スカルキャプテンは怒りを表しているのか、舵を戻し、部屋は水平に戻っていった。
「いや、自業自得だろ……。」
グオーーー!
スカルキャプテンが雄叫びをあげると、船の奥に不自然に水が溜まり始めた。
「おいおい、あの量ヤバイだろ!」
「ハーベル、このまま津波でも来たら一貫の終わりよ!一気に決めちゃいなさい!」
「うっしゃーー!」
ハーベルはシックスセンスを杖のように握り、
「ラディアント・ランス!」
「ストーム・ブリンガー!」
連続で詠唱を行った。彼の目の前に現れた光の槍が雷を纏い、一瞬でスカルキャプテン目掛けて突き刺さった。
「早っ!」
ハーベルも目で追えないほどのスピードだった。
ドカーーーーン!
凄まじい轟音とともにスカルキャプテンは船もろとも粉々になり、溜まっていた水も骸骨たちも完全に消えてしまった。
ビリビリ、ビリ…。
雷の残光が静かに消えていく。
「うわ、怖い!ハーベル、めちゃくちゃしすぎよ!」
「ハハハ……やりすぎちゃいました……。」
ハーベルは頭を掻きながら照れ笑いを浮かべた。
「あら、宝箱ね!」
「開けますね!」
箱の中には、【海賊ナイフ】【海賊帽子】【海賊ベスト】【海賊パンツ】【海賊の靴】の5種類が揃った完全な海賊セットだった。
「おもいっきりセットアイテムですね!結構好きかも!」
「ハーベル、全部あげる。要らないし……。」
「ですよね~、ハハハ……。」
ハーベルが装備すると、海賊セットは闇と水耐性を大きく上げ、攻撃力と俊敏性も飛躍的に向上させた。
特に【海賊ナイフ】は、「分離」スキルを使用可能にする便利な武器で、アイテムの素材を取り出せる特殊効果を持っていた。
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ハーベル ♂ 【医術師見習い】
武器:【シックスセンス】【海賊ナイフ】
魔法属性:光属性
固有スキル:「解析」「統合」
獲得スキル:「設定」「分解」「把握」「毒耐性」「召喚」「魔法陣」「ライブラリー」「分離」
光:上級魔法9
闇:上級魔法7
炎:上級魔法7
水:上級魔法8
風:上級魔法8
土:上級魔法8
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「分離」スキルは、アイテムを構成している素材をそのままの形で取り出すことができる便利なスキルで「分解」のように、ただ壊してしまうのではなく、素材として残すことができるので、クズアイテムでも欲しい素材だけを分離できるのだった。
次回 30階層の帰還:静寂を破る石像の咆哮
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頑張って続きを書いちゃいます!




