黒い影の恐怖:師弟の絆が試される瞬間
「ハーベル、遅いわね…。何かあったのかしら?」
リーフィアは食事の準備をしながら心配そうにしていた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
そのころ、ハーベルは闇の中にいた。
「偶然、ルミナス・レインの中に倒れ込んで助かった…。」
ハーベルはそう言うと、すぐに警戒態勢をとった。
「確かに、あの闇の中にさっきのデカイのがいる!」
ハーベルは鋭い眼差しで闇を睨みつけた。
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あの素早さと力は相当だった。暗闇の中で戦うのは得策じゃないだろう。一度ストーン・ウォールを解除するか?それじゃ、闇に逃げられるだけか…。全滅がクリア条件なら、どちらにしても倒す必要がある。闇雲に攻撃してもあの素早さでは逃げられるか…。
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ハーベルは闇の中で頭を巡らせながら考えていた。
「ラディアント・ジャベリン!」
ハーベルが数本の光の槍を闇の中へ放ったが、手応えはまったくなかった。
ゴクリ…。
ハーベルは大きく息を飲み込んだ。
すると、不意に背後から大きな黒い手がハーベルの首元へと延びてきた。
ハーベルがスッと振り向いた瞬間、その手は闇に紛れて消えてしまった。
「くそ!どこから手が出てくるかわからない…。」
ハーベルはあちこちを警戒しながら、じっと構え続けた。
「一回、明るい方へ出たいのに…。あの闇に入っちゃいけない気がする…。」
彼は迷いと恐怖を抱えながら、立ちすくむ。
「ルミナス・レイン!」
ハーベルは弱まった光の雨を立て直した。
ゴクリ…。
「どうする…。見えない敵がこんなに厄介とは…。」
闇の中で八方塞がりとなり、ハーベルの緊張は頂点に達していた。
ドキドキ、ドキドキ…。
「ああ、鼓動が早くなる…。早く倒したいのに…。方法が分からない…。どうしよう…。」
ハーベルは疲弊しきり、次第に考える力も失われていった。
そのとき、彼の背後にまた大きな黒い手が現れ、頭を鷲掴みにしようと迫ってきた。
「ハーベル!」
「ハッ!師匠!」
その黒い手は、リーフィアの声に反応するかのようにスッと引っ込んだ。
「どうしたの?」
「それが、闇の中に引きずり込まれて出られなくなっていたんです…。」
「ああ、ごめんなさい…。私がひとりにしたから…。私のミスね…。」
「いいえ、大丈夫です…。って、あんまり大丈夫じゃないです…。」
ハーベルは正直にリーフィアへ助けを求めた。
「分かったわ。今から少しずつ闇の範囲を狭めていくから、ハーベルはルミナス・レインを切らさないように周りを警戒していて!」
「分かりました!」
「コイツ、めちゃくちゃ早いので、闇に近づき過ぎないように注意してください!」
「了解よ!」
リーフィアは力強く応えると、
「ストーン・ウォール!」
石の壁を操り、闇の部分を少しずつ狭めていった。
「もう出られるんじゃない?」
「ああ、ありがとうございます!」
ハーベルは素早く影から転げながら外へと飛び出した。
「はあ、はあ…。アイツは、あの闇にいるはず…。」
そう言うと、その闇から大きな黒い両手を広げた狼のような影が現れ、ハーベルに飛びかかってきた。
ハーベルは思わず目を瞑り、かがみ込んだ。
「お前が、うちの弟子を!」
鬼の形相のリーフィアが、勢いよく影の頭をスタッフで串刺しにした。
影の狼はスーッと消え去り、闇もまた跡形もなく消えた。
「20階層クリアね…。ハーベル、本当にごめんなさい…。」
リーフィアは女神のような柔らかな表情でハーベルを抱き締め、そのまましばらく動けなかった。
次回 勇者と師匠の激闘:25階層の海賊王
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