魔法道具が織りなす異世界キャンプ
「このまま進みますか。」
「いいえ、きりもいいし、一度戻りましょう。」
そう言って、テルミットを掲げた。
「おお、一瞬で入り口に。」
「いいでしょ。」
「さすが、師匠ですね。」
「これで、明日は16階層から再開できるわよ。」
「テルミット、便利すぎですね。」
ハーベルがあらためてテルミットをまじまじと眺めていた。
「これ、売り出したら大ヒット間違いなしでは。」
「売るために作った訳じゃないし、そもそも発動条件が物理的な動作だから、一般には受け入れられにくいと思うわよ…。」
「なるほど、画期的すぎるわけですね。」
「まあ、そう言うこと。」
リーフィアがそう言いながらテルミットをしまった。
「今から、町まで戻るんですか。」
「いいえ、もちろん野宿よ。」
「ですよね~。」
「さすがに、こんなに遠いのはテルミットでも移動できないんですか。」
「そうね、せいぜい数kmといったとこかな、見える範囲くらいだと思っておいて。」
「分かりました。」
ハーベルは、ふんふんと頷きながらテルミットをしまった。
「私は、食事の準備をするから、ハーベルは休んでおいて。」
「いえ、俺もやりたいことがあるので、食事楽しみにしています。」
「あらあら、何か始めるのね。楽しみ!」
リーフィアは嬉しそうに食事の準備に取りかかった。
ハーベルは、周りに生えている樹を伐採し始めた。
「設定」スキルで、樹をすべて手のひらサイズまで小さくしてしまい、ナイフで木材を切り出すと、ドールハウスのように木造の家を組み上げていった。
さらに、家の内装も細かく作りあげると、お風呂まで作って、ベッドやトイレなんかも作りつけていった。
「『設定』スキルヤバイな!便利すぎだろ…。」
ハーベルは、そんな独り言をいいながらドールハウスを広い平らな土地に置くと、「設定」スキルで元の大きさに戻した。
「なかなかうまくできたな。」
「あらあら、凄いのができたわね。」
リーフィアが美味しそうなスープを持ってやってきた。
ハーベルは、ハウスの扉を開けると、机や椅子まで作りつけてあった。
「ハーベル、最高!」
リーフィアは、喜んで残りの料理も運んできた。
「やっぱり、師匠の食事は最高ですね。」
「ありがとう。」
「師匠、お風呂もあるのでどうぞ。」
「ああ、ベッドはあっても毛布がないか…。」
「いいえ、あるわよ!ちゃんと買っておいたわ!」
「さすが、師匠、最高です!」
ハーベルは美味しい食事を満足そうに頬張りながらこの上ない笑顔で喜んでいた。
次回 怨霊の部屋:光と闇の境界線
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