閉ざされた扉の先で:始まりのボス戦
ハーベルがその扉を開けると、凄い勢いで扉がひとりでに閉まり、開けて戻れなくなってしまった。
「ええ。さっき把握で見たときは罠はなかったのに…。」
「まあ、いいわ!ボスに集中して!」
「はい!」
ハーベルがシックスセンスを構えながら目を凝らして奥の方を見てみるが、何もなさそうだった。
「あれ、何もない!?。」
「よく見なさい!」
「骨の塊?」
「ええ。あれがボスよ!」
「あの骨が?」
「そうよ。スカルドラゴンね!」
リーフィアがそう言って、体勢を整えた。
「リフレッシュ!」
ハーベルの魔力量を回復した。
骨の塊はカタカタと音をたてながら、少しずつ組み上がっていき竜の形へと変化していった。
「本当に、骨の竜だ!」
ハーベルは不思議そうに眺めていた。
「ボーとしてないで、攻撃が来るわよ!」
リーフィアが激を飛ばした。
ハーベルは、「設定」スキルでシックスセンスを光の剣のように形状変化させた。
スカルドラゴンは咆哮すると、そのままの勢いで尻尾をハーベルめがけて振り抜いた。
骨しかないにしては、鋭く重そうな攻撃だったが、ハーベルは素早く飛び退くと、振り抜いた尻尾を光の剣でぶった斬ってしまった。
ちぎれた尻尾はカラカラ音をたてながら飛び散った。
怒ったスカルドラゴンは、ハーベルを頭から食らおうと大きな口で襲いかかってきた。
ハーベルがスカルドラゴンの口に飲み込まれたかのように見えたが、
「セレスティアル・ブラスト!」
ハーベルが詠唱するとスカルドラゴンの口から無数の光の筋が飛び散り、光の岩が四方八方に飛び出して来て、スカルドラゴンの頭を粉々にしてしまった。
すると、そのままスカルドラゴンの体も粉々になってしまい、ぼろぼろの骨だけが残っていた。
「ふーーー!」
「お見事!」
リーフィアが手を叩きながら近づいてきた。
「始めてのボスも余裕ね!」
「このくらいなら、いけそうですね!」
「あら、宝箱がドロップしてるわよ!」
「本当だ、開けてみます!」
ハーベルがそう言って、禍々しい模様の宝箱を開けて見ると、3つのアイテムが入っていた。
【魔導の腕輪】
闇耐性が大幅にアップする上に周りの魔素の量が増加するため、弾丸などの召喚にとても役に立つ。
【闇のマント】
闇耐性のアップに加え夜の間は、自由に透明化できる。さらに、昼間は、太陽の光を吸収することによって光属性の強化にもなる。
【真夜中の夢】
魔昌石の中でも希少価値の高い黒色の宝石で、魔素量は半端ない代物。
「私は、真夜中の夢だけを貰っておくから、他のアイテムはハーベルが装備しておくといいわ!」
「分かりました!」
「その魔昌石はどうするんですか?」
「まあ、コレクションみたいなものね。また、魔昌石が出たら貰えると嬉しいわ!」
「了解です!」
こうして、始めてのボス戦はあっけなく、終わってしまった。
次回 魔法道具が織りなす異世界キャンプ
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