革袋と時間魔法:二人の実用的な知恵
「ハーベル、何か買いたいものあるのかしら。」
「いいえ、今まで集めた魔物の素材でも売ってみようかと。」
「なるほど、いいわね。」
「じゃあ、手頃な革袋を二つ買っておいてくれる?」
「分かりました。」
ハーベルは店舗の中を歩きながら、興味深そうにあちこちを見回していた。フロアごとに商品が種類別に分けられていて、買い物がしやすい工夫がされている。
「本当に、デパートみたいだな…。」
ハーベルは独り言をつぶやきながら、1階の買い取りコーナーへ向かった。
「すいませーん!買い取りお願いします!」
ハーベルは鞄に詰め込んでいた魔物の素材を台の上に並べた。
「どうですか。」
店員が一瞬こちらを確認すると、店長らしき人物が慌ててやって来た。
「いつもごひいきにありがとうございます!買い取りですね!」
「ええ、大した物はないですが…。」
「そんなことはありませんよ!勉強させていただきます。」
店長は慣れた手つきで計算を始めた。
「これでどうでしょう?」
「ええ…高すぎでしょ…。いくらなんでも…。」
ハーベルは金額の異常さに思わず驚いた。
「いえいえ、これが妥当な買取価格です!お納めください。本日は誠にありがとうございます!」
店長が笑顔で差し出すお金を、ハーベルは不思議そうにしながらも受け取った。次に彼は別の雑貨フロアへと足を運んだ。
「いつもごひいきに!」
店内のあちこちで、店員たちが彼に挨拶を投げかける。
不思議に思いながらも、ハーベルは雑貨屋で頼まれていた革袋を二つ、さらに食糧や日用品も一緒に購入した。
「勉強させていただきまして、これでいかがでしょう?」
「ええ…安すぎるよ…。」
「おや、お客様。もしかしてまだお気づきではありませんか?」
「何がですか?」
「そのブローチですよ!」
「ブローチ?ああ、さっきの…?」
「ええ、そのブローチは、サルマン会長が直々にお認めになった方しか手にすることができません。【ドラゴンハート】と呼ばれるブローチです。どの国の商会でも買取価格は倍額、販売価格は半額とさせていただいております。ぜひ大切にしてください!ちなみに、ブローチを狙う不届き者もおりますので、お気をつけください。いつもごひいきにありがとうございます!」
店員が親切に説明してくれる。
「なるほど、そういうことか…。」
「気がついたようね!」
リーフィアが楽しそうに近寄ってきた。
「師匠、知ってたんですか?教えてくださいよ!」
「ただで教えたらつまらないじゃない。」
「ああ、師匠はそういう人でした…。」
「何、それ…。」
「そういえば、袋は何に使うんですか。」
「一つ貸して!」
リーフィアはハーベルから革袋を受け取ると、慣れた手つきで何かを「設定」し始めた。
「はい、どうぞ。」
「ただの袋ですね…。」
「そうかしら?いろいろ入れてみて!」
ハーベルが手元の荷物を入れると、袋が吸い込むようにそれらを収めてしまった。
「なんだ、この便利アイテムは…。」
「無限収納袋よ!」
リーフィアも自分用の袋を設定しながら言った。
「そうだ、これも追加してみよ!」
「どうしたの?」
ハーベルがリーフィアの袋を取り上げ、中をいじり始めた。
「へええ、時間魔法?」
「ええ、以前【虚空】魔法で時間を止める術を見つけたんですが、範囲が狭すぎて用途が分からなかったんです。この袋の範囲なら十分活用できそうです。」
「すごい!食べ物も腐らずに運べるわ!ハーベル、最高!」
リーフィアは妙に楽しげに喜んでいた。
次回 ドラゴンの誓い:指輪と神器の物語
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