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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン2 【聖域巡礼編】(闇の神殿)

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62/199

猫耳と茜空:宿と秘密の地図!?

周囲は夕暮れの気配を帯び始め、茜色の空が次第に宵闇の紫色へと移り変わる、美しい景色が広がっていた。


「そろそろ、街で宿でも探しましょうか?」

リーフィアが静かに言うと、ハーベルが頷いた。

「分かりました!」


街に近づくと、陽気な音楽が風に乗って聞こえ、心が自然と躍るようだった。


「お祭りかしら?」

「そうみたいですね!」


街の通りには、動物をかたどった光る風船があちこちに飾られており、幻想的な雰囲気を醸し出している。


「綺麗ですね!」

「あれ、あの形はキリンかな?」

「キリンなんているわけないでしょ。たまたま形が似てるだけよ。」

「そうかもしれませんね…。」


そんな他愛もない会話をしながら、二人は今夜の宿を求めて街中を歩いていた。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「そこのお兄さん…ヒック…。」

酔っぱらいの猫耳の女性がふらふらとハーベルに近寄ってきた。


「お兄さん、宿ならうちなんかどうだい?」

彼女は少し酒臭さを漂わせながら、ハーベルに色目を使い、胸を押し付けてきた。


「お兄さん…うん?かわいいね…ヒック…。」

「ちょ、やめてください!」

ハーベルは反射的に女性を押しのけた。


「私の連れに何か御用かしら!!」

リーフィアが一歩踏み出し、間に割って入る。その顔には、怒りの色がありありと浮かんでいた。


「なんだい!年増のおばはんの出る幕じゃないよ!」

「お…おばはん……。」


リーフィアが怒りで言葉を失っていると、ハーベルが前に出て女性を制した。

「やめろ!俺の彼女に失礼だろ!」


「彼女!?年増好きのガキかい…ヒック…そんなの、こっちから願い下げだよ…ヒック…。」

猫耳の女性は不満そうにつぶやくと、ふらふらと街の雑踏に消えていった。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「えらい目に遭いましたね…」

ハーベルが困った顔でつぶやくと、リーフィアが微かに笑った。

「ふーん、彼女ね…。」


その顔には、これまでに見たことのないような満足げな笑みが浮かんでいる。

「言葉のあやですよ!」

慌ててそう釈明するハーベルを見て、リーフィアは上機嫌のまま歩き出した。


「この宿が良さそうね。」

「はい!」


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


二人が足を踏み入れた宿は、素朴で居心地の良さそうな雰囲気だった。豪華さこそないが、どこか安心感を与える佇まいだ。


「いらっしゃーい!旅のお方!」

若い宿屋の娘がカウンターから顔を出す。ハーベルと同じくらいの年齢で、赤髪がよく似合う可愛らしい少女だった。


「はい、お世話になります。」

「お客さん、旅のお方?」

「ええ、ハーベルといいます。」

「私はこのレッドベア亭の看板娘、カヤよ!よろしくね!」


ハーベルは必要最低限の言葉で返事をしながら、ちらりとリーフィアの方を見てソワソワしていた。


「ハーベル!行くわよ…。」

「はい、師匠!じゃあ、カヤさん失礼します…。」

ハーベルは急いでリーフィアの後を追った。


「なんだか怪しい二人だわ…。」

カヤはそうつぶやきながら、勝手な妄想を膨らませていた。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


「部屋は二人部屋よ?」

「ええ、本当に俺と一緒の部屋でいいんですか?」

「不満かしら?」

「いえ、滅相もない…。」

ハーベルは顔を赤らめて小声で答えた。


「そうだ、良いことを思いついた!何か書くものないですか?」

リーフィアが紙とペンを貸すと、ハーベルは集中し始め、紙の上に自動的に街の地図を描き始めた。


「すごいわね。こんなに正確だなんて。」

「僕のスキル『把握』の力です。」

「なるほど。でも、もう遅いからそろそろ寝なさい。」

「分かりました。おやすみなさい。」

「おやすみなさい、ハーベル。」


窓の外を見れば、夜の景色は白いモヤに包まれている。その光景は、まるで二人の未来を静かに暗示しているかのようだった。

次回 アズールの朝:商業国家の秘密

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頑張って続きを書いちゃいます!

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