属性の融合:新たな魔法の可能性
「もう一つ教えておくことがあるわ!」
リーフィアは軽く微笑みながら、話を切り出した。
「何ですか?」
「合成魔法はもう覚えているわよね?」
「はい、全部ではありませんが、今のところ使えるのは聖水、雷鳴、それと毒素です。」
ハーベルは少し誇らしげに答えた。
「なるほど、それだけ使えれば十分すごいわね!」
「じゃあ、複合魔法については知っている?」
リーフィアの言葉に、ハーベルは疑問を抱いた。
「複合魔法?合成魔法とは何が違うんですか?」
リーフィアは説明を続けた。
「合成魔法は、それ自体が一つの属性として確立されているわ。でも複合魔法は、いくつかの属性を組み合わせて一つの魔法を作り出す技術なの。」
「うーん…。」
ハーベルは腕を組み、真剣な表情で考え込んだ。
「百聞は一見に如かずね。ちょっと見てて!」
リーフィアは杖を掲げると、空中に風魔法で円形の領域を形成した。その中を水魔法で満たした瞬間、大きな爆発音が響き渡り、周囲に水しぶきが飛び散った。その光景にハーベルは目を見開いた。
「すごい威力ですね!これは…水蒸気爆発ですか?」
「その通り、さすがハーベル!じゃあ、今の魔法に使った属性を言える?」
「ええっと…風、水、それと炎…かな?でも違うか…。」
ハーベルは首を傾げながら、考えを巡らせた。
「惜しいわね。炎ではこんな爆発にはならないの。重要なのは『加熱』よ。」
「なるほど…。」
リーフィアは続けて説明した。
「つまりね、複合魔法ってこういう物理現象や科学の知識を応用するものが多いの。」
「そういうことなんですね。魔法って思った以上に奥が深い…。」
ハーベルは感心しながら、周囲に目を向ける。そして突然、近くにいた魔物の一匹に目を留めた。
「ちょっと試してみてもいいですか?」
「もちろん、何をするの?」
ハーベルはキラーラビットに向け杖を構え、まず水魔法でその頭上を濡らした。キラーラビットは驚いた様子で体をプルプルと震わせ、必死に水滴を弾き飛ばしていた。
「サンダー!」
詠唱とともに雷鳴が轟き、キラーラビットが感電して倒れ込む。見る間にその体は焦げていた。
「なるほど、感電現象ですね。でも妙に威力が高い気がします。」
「ええ、水じゃなく塩水を使ったんです。より電流が流れやすいでしょ?」
「なるほどね…。」
リーフィアはさらに語る。
「実はね、塩水だけじゃなくて、化学物質も魔法で合成できるの。構造式さえ分かれば、どんな物質でも作れる可能性があるわ。」
「そうだったんですね…。」
ハーベルはふと思いついた。
「それなら、例えばTNTなんかも作れちゃうんですね。構造式は簡単だし…。」
「ええ、でも絶対にやっちゃダメよ!」
「分かってますよ。どうせ作ったところで自爆するのがオチでしょうし…。」
ハーベルは苦笑いを浮かべながら頭を掻いた。
「でも化合物が作れるっていうのは、魔法の新たな可能性を感じますね!」
「そうね。攻撃用途だけじゃなく、生活を豊かにする実用的なものに応用できそうだわ。」
「確かに…。」
ハーベルは未来の可能性に胸を膨らませながら、楽しそうに妄想を巡らせていた。
次回 猫耳と茜空:宿と秘密の地図!?
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