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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン1 【王立魔法学院編】

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旅立ちの風~ハーベルの決意~

「父さん、母さん、しばらくの間ですが、師匠の元で魔法の修行をしてきます!」

ハーベルの声には決意が込められていたが、その表情にはほんの少しの寂しさも漂っていた。


父は腕を組みながら、目を細めて息子を見つめた。

「まぁ、約束だからな!だが、本当に一年で卒業してしまうとは。息子ながら恐ろしい才能だ!」

その口調には誇りが隠されていたが、手放す寂しさも見え隠れする。


母はそっと一歩前に進み、優しい声で語りかける。

「そうね。身体だけは大事にして。無理はしないように。」

その言葉には母の愛情と心配がにじんでいた。


「分かってるよ、母さん!」

ハーベルは母の手をそっと握りしめた。温かな手の感触に、母の優しさを感じる。そしてその上から父の大きな手が重ねられた。

家族の絆が、言葉を超えて伝わるひとときだった。


父は少し真剣な表情で話を続ける。

「ハーベル、魔法だけじゃなく、医術師としての勉強も忘れるんじゃないぞ」

その一言には、父の厳しさだけでなく、息子の未来への期待が込められていた。


「分かったよ、父さん!約束する!」

ハーベルは力強く答えた。その声には揺るぎない意志が感じられる。


父がふと何かを思い出したように目を落とし、懐から袋を取り出した。

「で、いつ旅立つつもりなんだ?」

「明日には出発しようと思っています。」

「そうか……。」

父の目には、一瞬の寂しさが宿ったが、彼は気持ちを切り替えるように袋を差し出した。


「何もしてやれんが、これを持っていけ。」

袋の中には、一ヶ月暮らすのに十分な金貨が入っていた。


「いや、こんなに。勝手を言っている僕が受け取るわけにはいきません!」

ハーベルは躊躇いながら袋を返そうとするが、母が優しく彼の手を握り返す。

「いいのよ。受け取って。」

その言葉には母の愛と安心感が込められていた。


「……ありがとう。ありがたく使わせてもらいます。そして必ずお返しします!」

ハーベルは袋を大事そうにしまいながら、深く感謝の念を抱いた。


父は朗らかに声を張り上げる。

「子供が金の心配をするな!父親として当たり前のことだ。」

その言葉には励ましと温かさが溢れていた。


部屋に戻ったハーベルは、袋を見つめながら、胸にこみ上げてくる思いに涙を流した。静かな部屋で、彼は声を殺しながら感情を解放した。


⭐☆☆☆☆☆☆⭐


翌朝、雲ひとつない青空が広がり、ハーベルの心にも清々しい光が差し込んでいた。


「それじゃあ、行ってきます!」

彼の声は晴れやかで、希望に満ちていた。


「気をつけるんだぞ。」

父の声には力強さがある。

「身体を大事にしてね。」

母の声はどこまでも優しく温かかった。


父と母に見守られながら、ハーベルは決意を胸に師匠の元へと走り出した。途中でこれまでの思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。


「俺は、本当に幸せ者だな。」

彼は静かにそう呟き、顔を上げる。眩しい朝日に照らされたその表情は、未来への期待と希望に溢れていた。

次回 シーズン2 【聖域巡礼編】(闇の神殿)

魔法の旅立ち:リーフィアとハーベルの絆

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