英雄の凱旋 ~女王アリとの死闘を越えて~
ピクシスギルドのメンバーが、傷つき疲れ果てた体を引きずりながらも、ようやく出発地点のキャンプへ戻ってきた。出迎えた教諭や生徒たちが拍手で迎え、称賛の言葉が飛び交う。
「君たちは本当によくやった!」
白いローブをまとった教諭が前に進み出て、深々と頭を下げた。
「救援が間に合わず、本当に申し訳なかった…まさか女王アリがあの領域にまで進出しているとは、まったくの想定外だった…。」
「重ね重ね、申し訳ない!」
担当していた教諭陣が全員で深く頭を下げて謝罪を述べる。
「いえ、無事だったので…。」
マクリアはなんとも言えない微妙な表情を浮かべながら答える。怒る気持ちよりも、今は何とか生き延びた安堵の方が勝っているようだった。
白いローブの教諭が進み出て、全員に向かって宣言する。
「今年の試験は、これで終了とします!合否は明日の正午に掲示しますので、合格した者は学院長室まで証書を受け取りに来るように。それでは解散!」
試験の終了を知らせる言葉に、ハーベルはその場にどさっと大の字になって転がった。
「はあ、やっと終わった…。」
全身から力が抜け、声にも疲労感が滲み出ている。
隣に腰を下ろしたカザキが同じように体を伸ばしながら、静かに呟いた。
「ハーベル、ありがとうな!」
「いいえ、こちらこそです。こんな俺を受け入れてくれたピクシスのみんなに感謝しかありません!」
ハーベルは真剣な目で答えると、カザキはハーベルをじっと見つめて言葉を失った。
なぜか、みんながハーベルの周りに集まりしゃがみこんだまま動けなかった。疲労感と達成感が入り混じるその瞬間、互いに無言ながらも通じ合うものがあった。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
ギルドの拠点に戻った後、メンバーたちは反省会議を行うために再び集まった。
ネルがふと思い出したように声を上げる。
「お姉ちゃん、そういえばクイーンジャイアントは何かドロップしなかったの?」
「ええとね…角が3本、それにクイーンティアラとクイーンローブを落としてたわ!」
マクリアが答えると、ネルが目を輝かせながら
「すごい!」と喜ぶ。
「結局、角は全部で5本も集まったのか…。」
カザキが信じられないといった表情で呟く。
「クイーン、角3本ってどうなってんだよ…。」
スイカが不思議そうに首をかしげると、ハーベルが冷静に答えた。
「確かに、そうですね。でも、考えるだけ無駄だと思います。」
そんな軽い冗談を交わした後も、メンバーの表情にはどこか安堵の色が見て取れた。
マキアが少し笑みを浮かべながら言う。
「まあ、それより明日の合格発表は心配ないでしょう!」
シズネがいつものゆっくりした調子で呟いた。
「カザキ…マクリア…ハーベル…全員…合格…へへへ。」
その笑顔はいつもより少し明るいように見えた。
次回 春風に舞う未来~卒業試験のその先へ~
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