墓地の深淵 ~蘇る影との決戦~
卒業試験があと3ヶ月に迫った頃、ハーベルたちピクシスギルドはついに上級ダンジョンの最深部へ到達していた。
「ここをクリアできれば受験資格が得られる!」
カザキが全員に力強く宣言し、気合いを入れる。
あれから半年。それぞれが自分の課題に向き合い、驚くほど成長を遂げていた。
- マキアは、パーティー全体の魔力量コントロールを完璧にマスターし、パーティーの中心的な存在になっていた。
- カザキは、風魔法を極めて上級魔法まで使用可能になり、その戦闘力はさらに磨かれた。
- マクリアは、魔法タンクとしての耐久力に加え、妨害や攻撃も多彩にこなすようになっていた。
- シズネは、毒魔法に加え風魔法を習得し、幻影を作り出すスキルで戦略の幅を広げた。
- スイカは、水魔法を極めるだけでなく、光属性も使えるようになり、「聖水」の神聖魔法をマスターしていた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「上級のボスは何なんだろうな?」
スイカが興味深そうに尋ねる。
「よし、開けるぞ!」
カザキが扉を押し開けると、その先は荒れ果てた墓地のようだった。無数の墓標が乱雑に倒れ、奥には大きな祭壇があり、その上に棺が鎮座している。
「マジか…アンデッドかよ…。」
カザキが嘆息を漏らす。
「ここは、スイカさんの出番ですね!」
ハーベルがスイカの肩を優しく押す。
「はい!」
スイカは前へと進み出た。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
祭壇の上で巨大なレイスが姿を現した。瞬く間に周囲の地面から無数のゾンビたちが這い出てくる。
「ルミナス・レイン!」
スイカが詠唱すると、聖なる雨が降り注ぎゾンビたちを焼き払う。だが、それでもゾンビたちは次々に湧き出てくる。
「あのレイスを倒さないと、無限に湧いてくるんじゃないか!」
マクリアが声を張り上げる。
「分かりました!」
ハーベルは決意を胸に、飛び出していった。
「ブレイズ・スピアーズ!」
ハーベルは複数の炎の槍を召喚し、レイスに向かって放つ。しかし、すべての槍がレイスを素通りし、まったくダメージを与えない。
「やはり、魔法も通常攻撃も効かないみたいですね…。」
ハーベルは苦悩の表情を浮かべる。
「どうするんだ?俺の攻撃もまるで通じない…!」
「このままでは、じり貧になるわ!」
マキアが焦りの声を上げる。
「レイス自体は幻影のようなもので、どこかにその元となるものがあるはずです!」
「どこにあるんだよ!」
「一か八か、突っ込みます!皆さん、援護を!」
「了解!」
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「マッド!」
「ルミナス・レイン!」
「アイス・ロック!」
「ハイライフ!リフレッシュ!」
「疾風剣!」
全員による一斉攻撃でゾンビたちを足止めしながら、ハーベルは一直線に奥の祭壇を目指す。
「ゼファー・ダッシュ!」
風魔法で加速しながら、ハーベルは石の棺の蓋を蹴り飛ばす。中には女性と思われる白骨が静かに眠っていた。
その瞬間、レイスが異様な声を上げて襲いかかってくる。
キャーーーーーーー!
しかし、ハーベルは怯むことなく白骨に「聖水」をかけ、浄化を行った。レイスはその攻撃が当たる寸前で霧のように消え去った。
「くそっ、俺は何もできなかった!」
カザキが地面を蹴りつける。
「いいえ、相性の問題ですから。」
ハーベルが諭すように話すと、カザキの表情が少し和らいだ。
次回 医術師の誇り ~卒業試験の中で輝いた光~
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