氷と雷の共鳴 ~帝王に挑む勇者たち~
「グレイシャル・ロック!」
ハーベルが詠唱し、ゴブリンエンペラーを攻撃した。
ゴブリンエンペラーの足元から無数の氷の槍が地面を突き破り、その足を貫く。
ウギャーーーー!
鋭い悲鳴を上げるものの、ゴブリンエンペラーは怯むことなく氷を足で払いのけ、前へと歩みを進める。
「うわ…バケモノかよ…。」
「嘘だろ、あれ、上級魔法だぞ!」
カザキが悔しそうに呟く間にも、ゴブリンエンペラーは大剣を振りかざしながら猛攻を仕掛けてきた。
カザキは、剣の一撃をまともに受けることなく巧みにかわしていく。
「すげえ、カザキ先輩!」
ハーベルが感心する。
「感心してる場合じゃないぞ!どうするんだ!」
カザキが声を張り上げる。
「サンダー!」
ハーベルが雷撃を詠唱し、ゴブリンエンペラーの動きを一瞬止める。
プシューーーー
稲妻が轟音と共に地面に落ちた。
「マッド!」
続けざまに呪文を唱えると、ゴブリンエンペラーの足元の土がどろどろに溶け始め、巨体がずぶずぶと沈んでいく。その鎧の重さが仇となり、ゴブリンエンペラーはもがくほど深く沈み、顔だけが地面から突き出た状態になる。
「ナイス、疾風剣!」
カザキはその隙を逃さず、素早い一撃でゴブリンエンペラーの首をはねた。
「足元が土で助かったな…。」
「マッドってああやって使うんだ…今まで全然使いどころが分からなかったわ!」
マクリアも感心していた。
「周りの敵は俺に任せてください!」
ハーベルがそう言うと、仲間たちは後ろへ下がる。
「チェーン・ライトニング!」
稲妻がほとばしり、次々とゴブリンたちが感電し倒れていく。焼け焦げた匂いが洞窟内に立ち込めた。
「終わったな!」
カザキが剣を収めながら言う。
「まだ後ろにゴブリンは残っていますが、出口にさえたどり着けば問題ありませんね!」
マキアが安堵の表情を浮かべながら言った。
「さて、宝箱だ!」
カザキが満面の笑みで提案する。
「カザキ先輩、お願いします!」
「オッケー!」
カザキが宝箱を開けると、そこには「ゴブリンチョーカー」が入っていた。
【ゴブリンチョーカー】
効果
装着者がゴブリンに襲われなくなる。また、弱いゴブリンなら命令を聞くようになる。
「これ、ネルさんに付けてあげたいな…。」
ハーベルがつい本音を漏らす。
「ああ、でもみんなで山分けするんでしたよね!」
慌ててそう言うと、マクリアが微笑みながらチョーカーを差し出す。
「あとで、ネルに渡してあげて!」
ギルドの仲間たちはみんな笑顔だった。
「俺、このギルドに入れて本当によかったです…ありがとうございます!」
ハーベルは深々とお辞儀をして仲間たちに感謝を伝えた。
次回 未来への指南書 ~光と魔力の協奏~
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