勇者の奇策 ~魔法と剣で挑む最後の一撃~
「後ろを撃破して戻るか?このまま、ゴブリンエンペラーを倒すか?どっちにする?」
カザキは苦渋の表情で意見を求めた。
「後ろに戻った場合、どれほどの敵がいるか分からない以上、入り口まで戻れる保証はありません。その点、前に進めば出口に通じる道があるはず…。」
マクリアが冷静に状況を分析する。
「なるほど、前の方が確実そうですが…本当に倒せるのですか?」
マキアは不安げな声でつぶやく。
•••••••••
俺は、みんなに気づかれないよう「把握」で周囲の状況を探った。
前方にはゴブリンエンペラーと、その取り巻きが20体程度。そして後方には…どこから湧いてきたのか、100体を軽く超えるゴブリンがひしめいている。
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「ハーベル、どうする?」
カザキが決断を仰いだ。
「後ろは危険です…外へ出るなら、このまま攻略した方がいいと思います!」
ハーベルの目には迷いのない決意が宿っていた。
「よし、前に進むぞ!で、どうする?」
「毒は効かないし…矢が雨のように降ってくるし…。」
「スイカさん、開けた瞬間に『ウォーター・シールド』で矢を防いでください!」
「了解!」
「その後、俺が『ブリザード・ロック』で敵を足止めします。」
「分かった!」
「さらに、今使える弱体化魔法をすべて打ち込みます。」
「魔力は足りるの?」
マクリアが心配そうに尋ねる。
「ええ、大丈夫です!」
ハーベルは自信を持って答える。
「そのまま、俺とカザキ先輩がボスに突っ込みます!」
「はい!」
「周りのゴブリンたちは、マクリアさんの土魔法とシズネさんの水魔法で撃破してください!」
「シズネ…水魔法?」
「ええ、毒は効かないので、水魔法の方が有効だと考えます。」
「分かった…。」
シズネが小さく頷いた。
「スイカさんも取り巻きへの加勢をお願いします!」
「了解!」
「マキアさんは、随時俺たちのサポートをお願いできますか?」
「お安いご用ですわ!」
マキアが真剣な顔で頷いた。
「全員に『リフレッシュ』をかけておきます。これで魔力が一時的に少しずつ回復します。」
「ええ、『リフレッシュ』にそんな使い方があるなんて!」
「私も知らなかったです…。」
マキアが感心したようにまた頷く。
「では、『リフレッシュ』!」
ハーベルが全員に魔力回復魔法をかけた。
「本当だ、魔力が回復していく!」
マクリアがその効果に驚きながら呟いた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「解除します!」
「了解!」
石の壁を解除した瞬間、
「ウォーター・シールド!」
スイカの詠唱で展開された水の壁が、全方向から降り注ぐ矢を完全に防いだ。
「ブリザード・ロック!」
ハーベルの詠唱で出現した氷の鎖が、取り巻きのゴブリンたちを次々に捕らえていく。
「ハイブラインド!ハイスタン!アビサル・ヴァーティゴ!アビサル・リジリティー!」
ハーベルは立て続けに弱体化魔法を放つ。
「ええ…4連続詠唱…!?」
シズネが驚愕の表情を浮かべ、呆然とする。
弱体化を受けたゴブリンたちは、ふらつきながら明後日の方向に攻撃を繰り出していた。
「よし、今だ!」
カザキが全員に号令をかける。
「ゴブリンエンペラーには弱体化が効きません!魔法と剣で押し切るしかない!」
「分かった!」
「ハーベル、魔法で足止めを頼む!」
「任せてください!」
ゴブリンエンペラーは堂々と玉座に座り、微動だにしなかった。
「ふぉっ、ふぉ、ふぉっ…クズどもが!」
「ええ…魔物が喋った?」
「高レベルの魔物は人間の言葉を話すこともある。しかし、こんな初級ダンジョンに出るなんて聞いていないぞ…!」
「お前ら、ここで死ね!」
ゴブリンエンペラーがゆっくりと立ち上がる。手には大剣を携え、全身を防具で固めていた。
「では、行きます!」
ハーベルが気合いを入れる。
「グレイシャル・ロック!」
ハーベルが詠唱し、敵の足元を狙った。
次回 氷と雷の共鳴 ~帝王に挑む勇者たち~
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