ゴブリンキングへの挑戦 ~戦士たちの絆~
そこは、不気味な洞窟の入り口で、森の最深部に位置していた。昼間なのにほとんど光が届かず、薄暗い雰囲気が漂っていた。これから始まる戦いを暗示するかのようなその場所には、不穏な空気が満ちていた。
そう、アイツが居るということを…。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「ネル、まずはダンジョンの把握を頼む!」
マクリアが力強く指示を出す。
「任せて!」
ネルが自信たっぷりに応え、ダンジョンの入り口に手を掲げる。
「把握!」
ネルの手の中に緻密な構造物が次第に現れ、ダンジョンの詳細が浮かび上がっていく。
「いつ見ても凄いよな!」
カザキが感嘼の声を上げる。
「そうなんですよ。ネルさんは凄い人なんです!」
「なんでお前が得意気なんだ!」
「へへへ…。」
カザキとハーベルが軽くじゃれ合う。
「できた!ここが最終地点ね。でも、個体数が以前よりも多い気がする。」
ネルが心配そうに話す。
「確かに数は多そうだけど、このパーティーなら問題ないだろ!」
カザキが胸を張る。
「ですよね…初級ですし…。」
マキアも不安げながらも賛同する。
「よし、準備ができたら進むぞ!こんなところで野宿なんて絶対に嫌だからな!」
カザキが手をパンパンと鳴らしながら全員を急かす。
「ネルは外で待機してくれ!」
「了解です!」
ネルは万一の事態に備え、連絡要員として洞窟の外で待機することになった。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「中は結構暗いですね…ライト!」
ハーベルが呪文を唱えて明かりを灯す。
「ハーベル!明かりを消せ!」
カザキが即座に小声で指示する。
「どうしてですか?」
ハーベルは問いながらも素早く明かりを消す。
「明かりをつけていたら、相手からこちらが丸見えになって格好の的になるだろ!」
「なるほど…確かに…。」
ハーベルは反省し、うなずく。
「反省は後でいい。注意を怠るな!」
カザキがハーベルの肩をポンポンと叩いて励ます。
「罠にも気をつけろよ!」
「分かりました!」
洞窟内には、ゴブリンが設置したと思われる粗末な松明がところどころにあり、辛うじて先が見える程度だった。
「ほら、そこ!罠だ!」
「あ、本当だ…危なかった。ありがとうございます。」
ハーベルがすぐにお礼を言う。
「礼はいい。気をつけろ!」
カザキが厳しく指導する。
「そろそろ来るぞ!」
カザキが警戒を促す。
「3匹だ!」
「了解!」
ハーベルは【シックスセンス】を構える。
「フラッシュ!」
【シックスセンス】の先から閃光が走り、ゴブリンたちの目を眩ませる。その隙にハーベルは素早くナイフでゴブリンたちを仕留めた。
シュン、シュン、シュン… 。
軽やかに動きながら確実に仕留めるハーベルを見て、カザキが軽く拍手を送る。
「素早い攻撃だ!いいぞ!」
「どんどん来るぞ!」
スイカが前に出て呪文を唱える。
「アイス・ベース!」
ゴブリンたちの足元が凍り、滑って慌てる姿が見える。
「ファイア・ジャベリン!」
ハーベルが詠唱すると6本の炎の槍が現れ、ゴブリンたちを次々と燃やしていく。
「ナイスだ、ハーベル!」
スイカとハーベルがハイタッチをする。
「防御は私に任せて。どんどん進んで!」
マクリアがみんなのペースを上げる。
汚れた細い通路を進む中、悪臭が漂う最悪の環境を耐え抜きながら、ついに少し明るくなった広い部屋が見えてきた。
「おそらく、ボス部屋だ!」
カザキが全員を制止する。
「入る前にシズネさんの毒で弱らせましょう!」
「いい考えだ、ハーベル!」
「俺がストーン・ウォールで入り口を塞ぐので、その前に部屋中に猛毒をばらまいてください!」
「猛毒…分かった…。」
シズネが静かに呪文を唱える。
「ハイポイズン!」
紫色の風船のようなものが現れ、部屋の中央で破裂して猛毒が充満する。
「ストーン・ウォール!」
ハーベルが入り口を閉じたその瞬間、カザキが叫ぶ。
「おい!マキア、後ろだ!」
どこからともなく現れたゴブリンの大群がマキアの背後から迫っていた。
「ストーン・ウォール!」
ハーベルが即座に後方の通路も壁で封じる。
「まずいな…閉じ込められた…。」
「いいえ、ボス部屋の毒が消えるのを待てば通れるはずですわ!」
マキアが励ますように話す。
「そうだな…今のうちに!」
ハーベルが呪文を唱える。
「ハイライフ!」
全員の体力と魔力を回復させる。
「そんなに魔法を使って平気か?」
カザキが心配そうに尋ねる。
「ええ、まだまだ大丈夫です!」
ハーベルは力強く答え、やる気十分な様子を見せた。
次回 暗闇に潜む皇帝 ~絶体絶命の勇者たち~
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頑張って続きを書いちゃいます!




