初級ダンジョン完全制覇 ~森深部の試練~
3ヶ月が過ぎる頃には、ハーベルの身体は見違えるほど鍛えられていた。筋肉が盛り上がり、引き締まった体つきに変わり、背も少し伸びた気がする。顔つきも精悍になり、表情にはどこか大人びた雰囲気が漂っていた。
「ハーベル、入学したての頃とは別人だな!」
カザキが成長したハーベルの肩をバシッと叩く。
「カザキ先輩、ありがとうございます!」
「おお、こちらこそありがとうよ!」
「なんで、先輩が?」
「ハーベルが俺の訓練相手をしてくれたおかげで、俺もここまで成長できたんだ!」
「そんな…。」
ハーベルは感激して目に涙を浮かべる。
「いや、本当にお前は天才だよ。魔法だけじゃなく、戦闘でももう俺を越えている…。」
「そんなことありませんよ!」
「いや、実力を測る力も重要な能力の一つだ。」
「はい…。」
「心配するな!お前が俺を越えても、まだ教えられることはたくさんあるからな!」
「先輩…ありがとうございます…。」
ハーベルは感謝を込めて深くうなずいた。
ネルの地獄の訓練メニューをハーベルは毎日死に物狂いで続けてきた。魔法で回復できるとはいえ、その過程で毎回ヘトヘトになるのは変わらなかった。
「ハーベル、さらにカッコよくなったね!」
スイカが、こっそりマキアに耳打ちする。
「ええ、ますます私好みの男性になっていきますわ!」
マキアもその視線をハーベルに向けていた。
「ハーベル、はい!お弁当だよ!」
ネルがいつものように弁当を差し出す。
「ネルさん、毎日ありがとうございます!」
「ハーベルって本当に美味しそうに食べるよね!」
「いや、マジで美味しいので!」
ハーベルの言葉にネルの顔がほんのり赤く染まる。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「そろそろ初級ダンジョンの完全クリアに挑戦しようと思う!」
カザキがギルドメンバーを集めて提案を始める。
「ボスは何ですか?」
ハーベルが尋ねると、カザキは机をバシッと叩いて答える。
「ボスはゴブリンキングだ!」
「私、あいつ嫌い!」
スイカが嫌そうな顔を浮かべる。
「あんなの好きなやついないでしょ!」
「そうですわね…。」
マクリアとマキアもどこか気味悪そうだった。
「しかし、卒業試験を受けるには最低でも上級ダンジョンをクリアしなきゃいけない!俺たちはまだ中級ボスまでしかたどり着いていないんだ。こんなところで立ち止まっている暇はない!」
カザキが力強く仲間に訴える。
「はい!」
「みんな、いい返事だ!」
カザキは満足そうに頷いた。
翌日にはダンジョン攻略を決行することになり、それぞれが準備を整えていた。
「ハーベル、頼むぞ!」
「任せてください!」
「お願いね。」
マクリアが優しくハーベルの肩に手を置く。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「ここがそうですか?」
「ああ、最後の戦いだ!準備はいいか?」
「はい!」
洞窟の入り口は不気味に佇み、森の最深部で暗闇に包まれていた。昼間なのにほとんど光が届かないその場所は、これから始まる戦いの厳しさを暗示しているようだった。
そう、アイツが待ち構えていることを…。
次回 ゴブリンキングへの挑戦 ~戦士たちの絆~
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