勇者 降臨!?ハーベルの決意
ハーベルがこれまでに手にしたスキルは、ネルが与えてくれた「構築」と「把握」、レオンから学んだ「分解」、例の事件で偶然、獲られた「召喚」だった。
そして、レオンの左手に秘められた「魔法陣」もあった。
「召喚」は正直、どう使えばいいのか分からないが、「把握」は多岐にわたって使える可能性があるスキルだ。
ハーベルは、自身の能力を最大限に生かすため、「統合」スキルの使用時に発生する反動を抑える方法を模索していた。そのためには、魔力量を増やす地道な努力が必要だった。
例えば、無詠唱バリアの習得に挑み続けていた。しかしながら、スキルの反動は依然として厳しく、10分間もの昏睡状態に陥ることがしばしばだった。
「このままじゃ命に関わるかもしれない…。」
ハーベルは、どのように魔力量を増やせるか、頭を悩ませていた。
「そういえば、担任のメルギド先生は魔法陣の専門家だったな。【MACOK】のことも含めて、今度相談してみよう!けど、魔法陣を身体に刻むなんて、魔力の流れに悪影響を与えたりしないのだろうか?」
ハーベルは一人きりでそんな考えを巡らせ、次の目標をまとめ始めた。
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ハーベルのメモ帳
固有スキル:「解析」「統合」
獲得スキル:「分解」「構築」「把握」「召喚」「魔法陣」
当面の目標
- 魔法陣についてもっと学ぶ
- 魔力量の使用を抑え、反動で意識を失わない方法を探る
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ハーベルは回復役としてギルドに貢献していたが、それだけでは物足りないという思いがあった。もっと強くなるために、彼はギルドメンバーに自分の思いを打ち明けて協力を仰ぐ決意をした。
翌日、ギルドの集会所に足を運ぶと、全員が揃っていた。
「これで全員揃ったわね!」
リーダーのマクリアが立ち上がり、語り始める。
「今日はギルドの方針について話し合いたいと思うの。」
「今年の卒業試験はマクリアと俺が担当だよな?」
「ええ、内容次第だけど、たぶんパーティー戦でのレアアイテム収集になると思う。」
「その可能性が高いな!」
カザキは何か考えを巡らせているようだった。
「ハーベルが加入してくれたし、パーティー編成を少し変えてみようと思うんだ。」
「なるほどな!」
「賛成。」
「素晴らしいアイディアね。」
「カザキさん、最高っすね!」
そこでハーベルが手を挙げ、質問したい様子を示した。
「はい!ハーベル君!」
マクリアが教師のような調子でふざけながら指をさす。
ハーベルは少し緊張しながら語り始めた。
「俺は光属性だから、みんなは回復や治癒に期待してると思うんだ。でも実は、飛び級を考えていて…。」
ギルド内が一瞬静まり返る。
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いきなりすぎたかも…やばい、誰も反応してくれない。
目を開けるのが怖い…。
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意を決して目を開けると、ギルドメンバーの目が輝いており、皆が尊敬の眼差しでハーベルを見つめていた。
「勇者…。」
カザキが呟く。
「そう、勇者よ!」
マクリアが叫ぶ。
「勇者降臨…。」
シズネが妄想に浸る。
「ハーベル、最高だな!」
スイカが肩を叩いて応援する。
「まさかそんな方だったとは!」
マキアが少し頬を赤らめる。
ネルは輝く瞳でハーベルの手を握りながら言った。「ハーベルさんって勇者だったんだ!」
「どういうことだ?」
ハーベルは全員の反応に戸惑いを隠せない。
「よし!必ず一緒に合格させてやる!」
カザキが勢いを増す。
「いやいや、みんな急にどうしたんだ?」
スイカが肩を叩きながら、「まぁ、いいから!」と促す。
「納得いかないんだけどーーー!」
ハーベルはそう叫びながらも、メンバーの熱意に圧倒されていた。
次回 紫炎の工匠の意志を継ぐ者
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