深淵の魔導書と魔法陣使いの真実
勇気を振り絞り降りてきた階段の先には、教室ほどの広さの部屋が広がっていた。部屋の中央には、朽ち果てたボロボロのテーブルが置かれ、その上には一冊の本が、まるで「見つけてくれ」と言わんばかりに煌々とした灯りの下に鎮座していた。
「これって、魔導書!?」
その魔導書は、人間の薄皮を張り付けたような不気味な触り心地で、中央には悪魔の目を模した装飾が施されていた。その目は、まるで彼方側から此方側の深淵を覗き込むかのような、底知れぬ邪悪さを漂わせていた。
「気持ち悪!でも…中身は気になるな…」
リナは、思わず声に出してしまった。
リナの好奇心は、魔導書の怪しさをも上回り、抑えることができなかった。彼女は慎重にその本を手に取り、ページをめくり始めた。
そこには、【魔法陣使い】に関する詳細な記述が綴られていた。それによると、【魔法陣使い】になるためには、非常に厳しい条件をクリアしなければならず、そのため彼らは極めて希少な存在であるという。
【魔法陣使い】とは、人間の身体の一部に直接、自分の望む魔法陣を刻むことができる存在であり、魔法陣を刻まれた者たちは【魔刻印者】と呼ばれ、蔑まれる運命にあると記されていた。
「ああ、だからマコックなのか…」
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第一章 魔法陣使いの心得
その1
【魔法陣使い】は、決して人に知られず、極秘でなくてはならない!
その2
【魔法陣使い】は、魔法陣を研究し追及し続け、決して他者の考えに盲従してはならない!
その3
【魔法陣使い】は、【魔刻印者】を蔑み、貶め、絶対的に服従させなければならない!
その4
【魔法陣使い】は、優秀な【魔刻印者】を育てあげ、己の信念を貫き通さなければならない!
その5
【魔法陣使い】は、さらに優秀な【魔刻印者】を従え、組織の拡充を推し進めなければならない!
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その魔導書は、くだらない心得から始まり、信じられないほど残酷で非道な内容がぎっしりと詰まっていた。
「これって、本当なのかしら?にわかには信じられないけど、続きがどうしても読みたい!」
リナは、満足そうにニヤリと笑みを浮かべ、立ち上がった。
「さあ、帰って読み直しよ!楽しみが増えたわ!」
魔導書をまるで大切な赤ん坊を抱くように抱え、リナは気味の悪い笑みを浮かべながらその場を後にした。
次回 深紅の魔法陣と実験台の少女
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