ハーベルの選択:不安と期待の狭間で
「ハーベル、こっちだよ!」
マクリアが嬉しそうにハーベルの手を引き、拠点へと案内した。
その場所は、校舎の端のさらに奥深くにある、使われなくなった準備室のような部屋だった。狭い空間には様々な物が乱雑に積み重なり、まるで倉庫のような印象を与えていた。
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ここ…大丈夫なのか?いや、なんだかヤバい気しかしない…
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「ち、ちなみにギルドのメンバーは何人ですか?」
「ハーベルが加わって7人になったよ!」とマクリアは笑顔で答えた。
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7人!?しょぼすぎないか…。通常パーティーの最低人数が4人だからギリギリか…。
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「ハーベルは何が得意なの?」
「俺は光属性なので、回復と治癒魔法が得意です!」
「うちにはヒーラーがマキア一人だったから、助かるわ!」
「あ、ありがとうございます…。」
「ちなみに、マクリアさんは?」
「私は土属性で、構築と防御魔法が得意なの。」
そこへ、訓練を終えた残りのメンバーが戻ってきた。
「おお、新人か!俺はカザキ。よろしくな!」
最初に声をかけてきたのは、風属性の剣士で前衛のまとめ役でもあるカザキ先輩。3年生だ。
「どうも、スイカって言います。よろしく!」
スイカさんは2年生で、水属性のポーション使い。後衛からの攻撃魔法も得意らしい。
「私、シズネ…よろしく…。」
2年生のシズネさんは珍しい毒使い。闇と水の両属性を主としており、「毒素」魔法を使える希少な存在だ。その雰囲気は、見た目とも不思議にマッチしていた。
「あら、新入生ね!私はマキアと申します。以後、お見知りおきを!」
光属性で回復役を務めるマキアさんは、2年生ながらもお姉さんタイプの優雅な人物だった。
「私はギルドマスターのマクリアです!皆、よろしくね!」
マクリアさんは土属性の防御魔法に特化した魔法タンクだった。ちなみにもう一人、マクリアさんの妹であるネルさんがいるらしいが、身体が弱いためギルドにはあまり顔を出さないようだった。
「俺は、新入生のハーベルと言います。光属性で、回復と治癒魔法が得意です!よろしくお願いします!」
ハーベルは深々と頭を下げ、しっかりと挨拶した。
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ネルさんが来ないってことは、このメンバーがほぼ固定なのか…。
編成としては悪くないけど、前衛がカザキ先輩だけじゃ火力不足が目立つ気がする。
このパーティーで卒業試験なんて突破できるのか?いや、そもそも試験を受ける資格すら怪しい…。
…入るギルドを間違えたかも…。
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ハーベルの胸中では期待よりも不安が膨らみ続けていた。
「さて、今日は顔合わせということで、ハーベルも皆も、明日からよろしく頼むね!」
最後にマクリアさんが、明るく締めくくった。
次回 最弱からの飛翔::ハーベルの挑戦
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頑張って続きを書いちゃいます!