ギルド選抜:未来を切り開く鍵
入学式が終わると、校門付近が何やら騒がしかった。この学院の伝統である「ギルド祭り」が、今後一週間にわたって開催されるのだ。
各ギルドは、優秀な生徒を獲得しようと血眼になっていた。
「そこの君!もう入るギルドは決めたか?ぜひ、ラビットニアへどうぞ!」
「ええ、まだです…。」
「我がギルド、サンダーホースは勇者を求む!」
「そこの勇者!そう、君だよ!」
「はあ、こんなギルドもあるんだ…。」
「そこのあんた、うちの誘いに乗らんかったらアホやで!このタイガーブリッツは学院最強や!」
「うわ、強そう…。」
その中でも明らかに別格のギルドがあった。それが「ドラゴニア」だ。
ハーベルのお目当ても、一番人気のドラゴニアだった。中央の良い場所に陣取ったそのギルドは、特別扱いされている様子で、豪華な椅子にはギルドマスターがふんぞり返っていた。
「次の人!」
「ええ、君は合格!」
「次!」
「君はダメだね…。」
「前の列を詰めて!」
「君はあっちでサイン、君はダメ!」
ギルドメンバーたちは長蛇の列の新入生を次々と選別している様子だった。
ハーベルもその列に並んでいた。
「はい、次、次!」
「ああ、君はダメ、ダメ!」
ハーベルはあっさりと瞬殺された。
「ちょっと待ってください!」
どうしても入りたいハーベルは、食い下がった。
「はあ?空気読んでよ、忙しいんだから分かるでしょ!」
そのギルドメンバーは、面倒なクレーマーをあしらうかのように吐き捨てた。
「あ、はい…。」
ハーベルもそれ以上は何も言えなかった。
「なんか、思っていたのと違うな…。」
その後、ハーベルは次のギルドに挑戦してみた。
「あの~、まだ募集してますか?」
「ああ、もちろん!」
ところがそのギルドメンバーが振り返ると、
「ええっと、さっき定員に達しちゃったかな…。」
「そうですか…。」
ハーベルはどうもフィジカル面に問題があるようで、即戦力を求めるギルドにとっては、弱そうに見える彼は合格をもらうことができなかった。
そんな時、優しい声がハーベルに語りかけた。
「ねえ、君、まだギルド決まってないのかな?」
そこには姉御肌の女性が立っていた。
「決まってないなら、うちのピクシスに入らないかい?」
「ええ、僕なんかでいいんですか?」
「もちろんよ!」
ハーベルは深々とお辞儀をした。
「ハーベルと言います。よろしくお願いいたします!」
「私はピクシスのギルドマスター、マクリアよ!」
マクリアは、ハーベルの手をしっかりと握った。
次回 ハーベルの選択:不安と期待の狭間で
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