ギルドに挑む少年の決意
ピンクの花びらが舞い散る季節がやって来た。
高等部の入学式当日、学院へと続く並木道を、鼻歌交じりで歩いている。隣には、アンナが一緒だった。
「ハーベル、楽しそうだね!」
アンナが、にこりと微笑む。
「だって、やらなきゃいけないことがたくさんあって、今から待ち遠しいんだもん!」
ハーベルは、満面の笑みで言った。
その明るさとは対照的に、入学式中の彼は少し警戒していた。
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あの白いローブの先生は、いないみたいだな…。
そもそも、本当に高等部の先生なのかも怪しい…。
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そんな考えを巡らせながらも、入学式は無事に終わった。ひとまず安心したハーベルだったが、入学して早々にやるべきことがあった。それは、飛び級の相談を担任にすることだ。彼は職員室へ向かった。
「先生、白い髭で大柄な黒いローブの先生っていませんか?」
先生の名前を忘れてしまっていたハーベルは、近くの若い教諭に尋ねた。
「うちにそんな先生いたかな…?」
教諭は首をかしげながら、不思議そうに考え込む。
「あっ、あの先生です!ありがとうございました!」
ハーベルはその教諭に礼を言うと、走り出していった。
「あの生徒、何を言ってるんだ?先生のローブは白いのに…。」
教諭は再び不思議そうに呟いた。
ハーベルが駆け寄ったのは、大柄な黒いローブに白い髭を蓄えた教諭だった。
「先生!少しお時間いいですか?ご相談が…。」
「おお、ハーベルだったかのう!」
「はい!」
名前を覚えてもらえていたことが、ハーベルには嬉しかった。
「相談とは何じゃ?」
教諭は別室へ案内し、彼と向き合って腰かける。
「実は、いろいろ事情がありまして…1年で飛び級したいんですが、どうしたらいいんでしょうか?」
ハーベルは思い切って切り出した。
「ほほう、飛び級とな…。長年この学院におるが、1年での飛び級は初めてじゃのう!ほっほっほっ…!」
教諭は、白い髭を撫でながら楽しげに笑った。
「まずは、当たり前のことじゃが、3年生相当の学力が必要じゃ。それは、そう難しくないじゃろうな!」
教諭は簡単そうに言うが、その口調に威厳があった。
「具体的には、どうすれば?」
「簡単じゃ。1年後の卒業試験の学科で合格するだけじゃよ!」
「なるほど…。」
ハーベルは素直に頷く。
「だが問題は、実技試験の方じゃな…基本的には、卒業試験は3年生がメインじゃ。そして内容は、恒例のパーティークエスト。魔物からレアアイテムを採取する試験じゃ!」
また髭を撫でながら、教諭は続けた。
「魔物討伐をパーティーでか…!」
眉間に皺を寄せるハーベル。
「つまり、ギルドに入って3年生たちとパーティーを組めなければ、話にならんということじゃな」
「はあ…分かりました。ありがとうございました。」
少し落ち込んだ様子で、ハーベルは職員室を後にした。
「メルギド先生、飛び級の相談ですか?」
「ええ、そうなんですよ!こんな優秀な若者が現れるとは嬉しいものですね!」
若い教諭が声をかけたのは、白いローブを着た背の高い30代の教諭だった。彼はニヤリと笑みを浮かべている。
ギルド――それは、パーティー構成や戦闘訓練を行う生徒主体の部活動のようなものだ。教諭は基本的に助言にとどまり、活動は生徒の自主性に委ねられていた。
そのため、どのギルドに入るかは学生生活の最も重要な選択肢の一つであり、進路を左右すると言っても過言ではない。
次回 ギルド選抜:未来を切り開く鍵
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