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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン1 【王立魔法学院編】

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ギルドに挑む少年の決意

ピンクの花びらが舞い散る季節がやって来た。

高等部の入学式当日、学院へと続く並木道を、鼻歌交じりで歩いている。隣には、アンナが一緒だった。


「ハーベル、楽しそうだね!」

アンナが、にこりと微笑む。


「だって、やらなきゃいけないことがたくさんあって、今から待ち遠しいんだもん!」

ハーベルは、満面の笑みで言った。


その明るさとは対照的に、入学式中の彼は少し警戒していた。


•••••••••

あの白いローブの先生は、いないみたいだな…。

そもそも、本当に高等部の先生なのかも怪しい…。

•••••••••


そんな考えを巡らせながらも、入学式は無事に終わった。ひとまず安心したハーベルだったが、入学して早々にやるべきことがあった。それは、飛び級の相談を担任にすることだ。彼は職員室へ向かった。


「先生、白い髭で大柄な黒いローブの先生っていませんか?」

先生の名前を忘れてしまっていたハーベルは、近くの若い教諭に尋ねた。


「うちにそんな先生いたかな…?」

教諭は首をかしげながら、不思議そうに考え込む。


「あっ、あの先生です!ありがとうございました!」

ハーベルはその教諭に礼を言うと、走り出していった。


「あの生徒、何を言ってるんだ?先生のローブは白いのに…。」

教諭は再び不思議そうに呟いた。


ハーベルが駆け寄ったのは、大柄な黒いローブに白い髭を蓄えた教諭だった。


「先生!少しお時間いいですか?ご相談が…。」

「おお、ハーベルだったかのう!」

「はい!」

名前を覚えてもらえていたことが、ハーベルには嬉しかった。


「相談とは何じゃ?」

教諭は別室へ案内し、彼と向き合って腰かける。


「実は、いろいろ事情がありまして…1年で飛び級したいんですが、どうしたらいいんでしょうか?」

ハーベルは思い切って切り出した。


「ほほう、飛び級とな…。長年この学院におるが、1年での飛び級は初めてじゃのう!ほっほっほっ…!」

教諭は、白い髭を撫でながら楽しげに笑った。


「まずは、当たり前のことじゃが、3年生相当の学力が必要じゃ。それは、そう難しくないじゃろうな!」

教諭は簡単そうに言うが、その口調に威厳があった。


「具体的には、どうすれば?」

「簡単じゃ。1年後の卒業試験の学科で合格するだけじゃよ!」

「なるほど…。」

ハーベルは素直に頷く。


「だが問題は、実技試験の方じゃな…基本的には、卒業試験は3年生がメインじゃ。そして内容は、恒例のパーティークエスト。魔物からレアアイテムを採取する試験じゃ!」

また髭を撫でながら、教諭は続けた。


「魔物討伐をパーティーでか…!」

眉間に皺を寄せるハーベル。


「つまり、ギルドに入って3年生たちとパーティーを組めなければ、話にならんということじゃな」

「はあ…分かりました。ありがとうございました。」

少し落ち込んだ様子で、ハーベルは職員室を後にした。


「メルギド先生、飛び級の相談ですか?」

「ええ、そうなんですよ!こんな優秀な若者が現れるとは嬉しいものですね!」

若い教諭が声をかけたのは、白いローブを着た背の高い30代の教諭だった。彼はニヤリと笑みを浮かべている。


ギルド――それは、パーティー構成や戦闘訓練を行う生徒主体の部活動のようなものだ。教諭は基本的に助言にとどまり、活動は生徒の自主性に委ねられていた。


そのため、どのギルドに入るかは学生生活の最も重要な選択肢の一つであり、進路を左右すると言っても過言ではない。

次回 ギルド選抜:未来を切り開く鍵

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