魔道具とハーベルの旅立ち
「スキルで設定したのはいいけれど、インプット方法がまだ分からない…。」
ハーベルはまた考え込んでしまった。
魔力を使わないのであれば、動作によるものだろうか?
動作、つまり物理的な方法でインプットすることで、魔道具の発動に必要な魔力量を軽減しているということなのか…
「なんて画期的な魔道具なんだ!天才だ!」
魔道具といえば、魔力を流して火を継続的に灯したり、水を出し続けるものなど、生活魔法の手助けをする程度のものが一般的だった。
しかしテルミットは、ひとつの魔道具に複数の機能を持たせ、さらに物理的な動作で魔法を発動させることで、使用する魔力量を抑えることに成功していた。
こんな革新的な魔道具は、見たことも聞いたこともない!
ハーベルは感動しながらテルミットを眺めていた。
「となると、リーフィアさんに電話をかけ直せるのは当然のことだ!」
そう呟き、ハーベルはテルミットを耳に当ててみた。
すると、テルミットが澄んだ水のような美しい青色に輝き始めた。
「あらあら、もう気付いちゃったのね?」
リーフィアの声が聞こえた。
「はい!リーフィアさんは本当に天才です!」
ハーベルは心からそう思っていた。
「リーフィアさん…いや、リーフィア師匠!」
「まあ、なんて嬉しいことを言ってくれるの!」
「師匠!どうぞよろしくお願いします!」
「ええ、こちらこそよろしくね!」
リーフィアの声は、明るく楽しそうに響いた。
「さて、あとはご両親の承諾だけね。頑張って!」
「分かりました!」
ハーベルの声は、軽やかに弾んでいるようだった。
「それにしても、このテルミットって、作成するにはやっぱりスキルが必要なのですか?」
ハーベルが尋ねた。
「そうよ。ただ、今はまだ教えられないわ。」
「もちろん、承知しています!」
「でも時期が来たら、最初から順番にしっかり教えるから、楽しみに待っていてね。」
「分かりました、師匠!」
ハーベルの声は、未来への希望に満ち、清々しいほど晴れやかだった。
次回 魔法と医術:二つの夢、ひとつの道
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