転生者の絆と運命の導き
辺りは薄暗くなり始め、公園の一画を除けば、灯りが少しずつともり、町の景色が柔らかく輝いていた。その光景は美しく、穏やかな雰囲気を漂わせていた。
ハーベルは記憶を頼りに家を目指し、なんとか辿り着いたものの、すでに夕飯の時間は過ぎていた。
「坊っちゃん、遅かったですね!」
使用人が駆け寄り、心配そうな顔で迎えた。
「道に迷っちゃってさ、大変だったよ…。」
ハーベルは軽く肩をすくめると、急いで食事を済ませた。そして決意を胸に、両親のいるリビングへ向かう。
「ハーベル、遅かったわね。」
「使用人に聞いたけど、道に迷ったんだって?」
両親は食後の酒を片手に、くつろいでいる様子だった。
「お父さん、お母さん、相談があります!」
ハーベルの声には真剣さが込められていた。
「急に改まって、どうしたんだ?」
父親はグラスを置き、ハーベルの方に体を向けた。
ハーベルはこれまでの経緯を詳しく話し始めた。ただし、転生者としての秘密は隠し、都合の悪い部分は巧みに避けながらも、話の内容には嘘は一切なかった。
「それで、見知らぬ魔女の家に弟子入りしたい、と言うのか…。」
父親は厳しい表情を浮かべ、しばらく目を閉じて考え込んだ。
「ねえ、あなた…。」
母親は何か言いたげに父親を見つめた。
「ああ、分かっている。」
父親は意を決したように再びハーベルを見つめた。
「ハーベル、結論から言うと、許可はできかねる。」
「はい…。」
ハーベルは小さくうなだれた。
「まず、お前の将来の目標は何だ?」
「父さんのような、立派な医術師になることです!」
「そうだろう。そのためには学ばなければならないことが山ほどある。」
「はい…。」
ハーベルは俯き、しょげた表情を浮かべた。
「高等部の卒業は絶対条件だ。父さんもここは譲れない。分かってくれるな?」
「はい。」
母親も心配そうにハーベルを見守っていた。
「レオン君のことは警察に任せるのが賢明だと思う。警察には仕事の関係で伝手があるから、さりげなく聞いてみよう。」
「はい、お願いします…。」
ハーベルの表情にわずかな変化が現れた。
「お前は、私に似ず賢い子だ。理解してくれ。」
「ああ…はい…。」
「俺も高等部の卒業は考えていました。でもその後、弟子入りのことを改めて考えていただけませんか?」
ハーベルは懇願するような目で父を見つめた。
「ああ、まずは卒業だ。」
「はい!父さん!」
普通に考えれば、15歳の子供を見知らぬ魔女の家に弟子入りさせる親などいるわけがない。しかし、こうなった以上、ハーベルには意地でも弟子入りを認めさせたい思いが強くなっていた。
「まずは、高等部の卒業だ。」
ハーベルの目標ははっきりと定まった。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
自室で一人、将来のことに思いを巡らせていると、リーフィアからもらったテルミットの珠が青色に輝き始めた。
「ああ…光ってる!青色!?」
ハーベルは慌てて珠を手に取った。
「ハーベル、ハーベル、聞こえるかしら?」
どこからともなく、あの美しいリーフィアの声が響いてきた。
次回 青い光が導く未来への道
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頑張って続きを書いちゃいます!




