窓辺の景色と紫の魔女
「こうかな?」
ハーベルが光り輝く珠を巨大な樹に向かって高く掲げると、瞬間的に眩い光が周囲を包み込んだ。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「はあ?ここはどこだよ!」
ハーベルは見知らぬ部屋の椅子に腰掛け、状況を飲み込むことができず呆然としていた。
その部屋は木製で統一され、温かみのある可愛らしい雰囲気を醸し出していた。木目調の家具が並び、壁際の本棚には難解そうな本がぎっしりと詰まっている。机の上には実験道具のような物が所狭しと置かれており、ハーベルには全てが謎めいて見えた。
椅子の前のテーブルにはティーポットとカップが二つ置かれていて、そのポットの上には先程のピクシーがちょこんと座っていた。
「はい、到着よ!感謝しなさい!」
ピクシーは可愛らしく言い放つと、ハーベルの鼻をポンと叩いてから姿を消した。
「ええ、消えちゃった…って、ここに一人にされても困るんだけど。」
ハーベルは急な事態に驚き、机の周囲を慌てて探し回った。
「いないや…。」
落ち着きを取り戻したハーベルは改めて部屋を見渡し、呟いた。
「それにしても、ここはどこなんだ?」
窓際へと歩み寄り、外を覗くと広がる風景に心を奪われた。町が一望できるその景色は、まるでハーベルがお気に入りの丘から見える風景を彷彿とさせた。
「ああ、この景色は好きかも。」
彼は優しく呟き、しばらく窓の外を眺めた。
「あのお姉さんの家なのかな?見たことのないものばかりだ…。これって魔道具なのか?」
ハーベルが机の上に置かれた道具に手を伸ばそうとすると、不意に美しい声が後ろから響いた。
「あらあら、それは危険だから触らないでね。」
その声に驚いたハーベルは慌てて手を引っ込め、振り返る。
そこには紫色の長い髪をたなびかせた美しい魔女がドアを開けながら入ってきた。
「あら、お久しぶりね。」
魔女は優しい声で微笑みながら手を差し出した。
「お、お久しぶりです。」
ハーベルは緊張しながらその手を握り、握手を交わした。
「今日は相談事かしら?」
魔女は楽しそうに微笑みながら、お茶の準備を始めた。
次回 木の家で紡がれる転生者の物語
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