光る珠が示す冒険の始まり
来年からは高等部への進学を控えていたハーベル。
期待と不安が交錯する中、彼は日々の学院生活に取り組んでいた。
あの事件以来、学院はしばらく警戒体勢を敷いていたものの、人々が事件を忘れ始める頃には対応も次第に疎かになっていった。
事件そのものには何の進展もなく、レオンの行方も依然として不明のままだった。
それでもハーベルだけはレオンを気にかけつつも、自分の未来を見据えて努力を続けていた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「あのお姉さんに会ってから、もう1週間か…。」
学院からの帰り道、ハーベルはふと魔女のことを思い出し、例の光る珠を取り出してみた。
「あれ、なんかいつもより光っている気がする…。」
彼は珠を掲げてみると、確かにいつもより強く光っているようだった。
「やっぱり、光ってる!もしかして、場所によって光る強さが変わったりするのかな?」
ハーベルは興味を抱き、光が強くなる方角を探りながら歩き始めた。
「やっぱり、そうだ!」
彼は珠が導く方向へ進んでいった。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
しばらく歩くと、知らない地区にたどり着いた。
少し戸惑ったものの、ハーベルは気にせず先へ進む。
目の前に広がったのは、一見何もない公園のような場所だった。
その中心には高さ20mほどもある巨大な樹が立ち、その上方には家のようなものが見えた。
ハーベルが公園の中に入ると、珠が明らかにさらに強い輝きを放ち始めた。
「あの家…マジか…どうやって行くんだよ…。」
何度も見上げながら、ハーベルは困惑していた。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「おーい!」
遠くから声が聞こえた気がして、ハーベルは辺りを見回す。
「うん?気のせいか?」
「おーい!おーい!」
突然、目の前を可愛らしいピクシーが飛び回り始めた。
「何、お前誰だ!」
思わず身を引きながら、ハーベルは尋ねた。
「お前は、ひどい!」
ピクシーは小さな腕を振り回しながら怒った様子を見せた。
「ああ、ごめんなさい…驚いちゃって…。」
ハーベルが素直に謝ると、ピクシーは少し落ち着きを取り戻した。
「まあ、いいけど!あんた、あの家に行きたいんでしょ?」
「うん、でも行き方が分からないんだ!」
「でしょうね…。いいこと教えてあげる!」
「いいこと?」
不思議そうに尋ねるハーベルに、ピクシーは嬉しそうに飛び回りながら教えた。
「あんたの持っている珠を上に掲げてみなさい!いいことが起こるわよ!」
「こうかな?」
ハーベルは光り輝く珠を空へと掲げた。
次回 窓辺の景色と紫の魔女
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




