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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン1 【王立魔法学院編】

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優しさの影に潜む赤い光

青空の下、心地よい風が吹き、小鳥の囀りが響く中、ハーベルと男はベンチに並んで腰掛けていた。

しかし、穏やかな天気とは裏腹に、ハーベルの心は重く沈んでいた。


男が掴んでいたハーベルの手を離し、優しく促した。


「もう少し話してもいいかな?」

そう言って、ハーベルをベンチに座らせ直した。


「はい…。」

ハーベルは困った顔をしていたが、男はそんなことを気にする様子もなく話を続けた。


•••••••••

マジか…この男、逃がすつもりないな…。

どうにかして逃げたいけど、いきなり走り出すのも不自然だし、先生相手だと後で問題になりそうで厄介だ…。

くそ、どうしたらいいんだ…。

•••••••••


「それで、その紙切れには地図以外に何か言葉が書いてなかったのかい?」

男はぐいぐいと質問を続けてきた。


「はい…何もありませんでした。」

ハーベルは冷静を装いながら答えた。


「そうか…。」

男はしばらく考え込んでいたが、突然立ち上がった。


「分かった!私も一緒に探してあげよう!」

手をバシッと鳴らしながら提案してきた。


•••••••••

マジか…コイツ、一緒に探すだって?勘弁してくれ…。

どうするんだ、これ…。

•••••••••


ハーベルは心の中で困り果てていた。


「いえ、大丈夫です!これ以上ご迷惑をお掛けするわけにはいきませんから!」

ハーベルは必死に断ろうとしたが、男は意に介さず続けた。


「いや、迷惑だなんて!」

「いいえ…。」

「私も気になってきてしまったんだ!手伝わせてくれ!」

男はやる気満々の様子で立ち上がった。


•••••••••

ああ、ダメだ…逃げられない…。

•••••••••


ハーベルがもう断りきれないと諦めかけたその瞬間、若い女性の怒鳴り声が響いた。


「教授!探しましたよ!どこで油を売っているんですか!」


「ええ?」

ハーベルは呆気に取られていた。


「早く戻りますよ!もうすぐ次の授業が始まってしまいます!急いでください!」

女性は男の腕を掴み、無理やり引っ張り始めた。


「ああ、分かった、分かったから…。」

男は残念そうな顔をしながら引っ張られていき、ハーベルに向かって声をかけた。


「ハーベル君、ごめんよ!今日はこのくらいにしておくよ!またね!」


そう言い残し、男は引きずられるように去っていった。


「助かった…!」

ハーベルは緊張から解放され、地面にへたり込んだ。


「はあ…。でも、アイツ、今俺の名前呼んでなかったか?気持ち悪い…。名乗った覚えもないのに…。」

ハーベルは気味悪さを感じつつも、解放された喜びの方が大きかった。


「さすがに今日はここまでにしておこう…。アンナが心配しているだろうし、帰るか…。」

ハーベルはとぼとぼと家路についた。

次回 魔女の贈り物と運命の出会い

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