秘密を握る白いローブの男
青空には太陽が輝き、小鳥が囀り、心地よい風がそよいでいた。その穏やかな天気とは対照的に、ハーベルの心には曇りが残ったままだった。
高等部の広い敷地の片隅、ハーベルと男はベンチに腰掛け、気まずい沈黙が流れていた。
男が先に口を開いた。
「君は中等部の生徒か?」
「はい、中等部の学生です…。」
「そうか。私は高等部の教員だ。」
「先生ですか…。」
「まあ、そんなにかしこまる必要はないよ。」
「はあ…。」
その穏やかな声に少しだけハーベルの緊張が解けた。
「それで、何を探していたんだい?」
先生が優しく尋ねると、ハーベルはこれまでの経緯を話し始めた。ただし、都合の悪いことは巧みに省略して。
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俺が転生者だなんて言うわけにはいかない…。
それに、【MAC•••】やレオンの左手のことも伏せておくべきだろう。
まだこの男を信用したわけじゃないし、何とかしてこの場を切り抜けないと…。
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「なるほど。君は、その紙切れが例の事件に関係していると考えて、高等部まで調べに来たというわけだね?」
「はい…ごめんなさい…。」
「いや、謝る必要はないよ。」
先生は少し考え込むように視線を落とした。
「あの~。」
「なんだい?」
先生は優しい表情を浮かべたまま答えた。
「もうそろそろ帰らないと…。」
ハーベルが立ち上がろうとすると、男は急に声を張った。
「そうか、そうか。それは悪かったね!でも、ちょっと待ってくれたまえ!」
そう言って、男は立ち上がるハーベルの手を掴んだ。その力は優しいが、逃がす気はないようだった。
次回 優しさの影に潜む赤い光
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