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転生医術師の魔法好きがこうじて神にまで上り詰めた件  作者: 吾妻 八雲
シーズン1 【王立魔法学院編】

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高等部への進入と未知の邂逅

高等部の敷地は中等部と比べて広大で、余裕のある造りが印象的だった。

生徒たちは屋外で勉強や実習をすることもできるように、至るところに机やベンチが整然と配置されていた。


その日は快晴で雲ひとつない青空が広がり、暖かな陽光が辺りを包んでいた。

しかし、そんな心地よい天気とは裏腹に、ハーベルの心はどんよりと曇ったままだった。


「この辺りじゃない気がする…。どうなってたっけ…?」

彼は深い考えに沈みながら校庭を歩き回っていた。


そして、ふと一つの記憶が頭をよぎる。


「ああ、そうだ、高等部には旧校舎があったはず…。もしかして、あの地図が指しているのは旧校舎の方かもしれない!」

ひらめきが胸に灯ると同時に、彼は急に走り出した。


その時だった。


「おい!そこの君!」

大人の男性の声がハーベルを呼び止めた。


「ヤバい!」

ハーベルは咄嗟に肩をすぼめ、怒られるのではないかと身構えた。


「君にはまだここは少し早いんじゃないかな?」

意外にも優しい声で話しかけられ、ハーベルは恐る恐る振り向いた。


そこには、30代ほどと思われる背の高い男性が立っていた。彼は白いローブを纏い、穏やかな微笑みを浮かべている。


「あの、ちょっと探し物をしてまして…。」

ハーベルは答えたが、男性はその言葉に反応を見せた。


「探し物?それは何かな?どんなものを探しているんだ?」

しつこく問い詰められ、ハーベルはその場を逃れようとする。


「あ、いや、大したものではないので。失礼します!」

ハーベルが立ち去ろうとした瞬間、男性が声を張り上げた。


「待ちなさい!」


その声に驚き、ハーベルは足を止めてしまう。


「なにも取って食おうって訳じゃないんだから、逃げる必要はないだろう?」

彼は諭すような口調で言った。


その直後、男性の目が赤く光り、真っ赤な魔法陣が浮かび上がると、ハーベルの身体がふわりと宙に浮いた。


「ああ…ああ…!」

ハーベルは慌てて手足をバタバタさせたが、男性は冷静に彼の体勢を整えると、近くにあったベンチへ優しく下ろした。


「まあ、少し話を聞きなさい。」

男性が穏やかに言うと、ハーベルは焦りながらも静かに頷いた。


「はい…。」


「いい心がけだ。」

彼はそう言ってハーベルの頭を優しく撫でた。

次回 秘密を握る白いローブの男

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