【MACOK】:影の英雄たち
「サンドリアってトリガーの故郷だよな?」
サクナが尋ねる。
「ああ、サンドリアにもまだ【MACOK】がいたんだな…。」
トリガーは故郷に新たな仲間がいることに、どこか安堵した表情を見せた。
「ミリア、この辺でいいのか?」
レオンがミリアに尋ねる。
「そうね、あの迷宮付近にアジトがあるらしいわ。」
ミリアが、【MACOK】のイツキに連絡を入れた。
「イツキ? 手筈は整った?」
「はい、いつでも行けます。」
レオンたちは、イツキのアジトに乗り込んだ。
イツキの周到な計画により、人員が手薄な時間帯で、ボスのサガンが一人で仕事をしているところだった。
「サガン! イツキはもらっていくぞ!」
レオンが堂々と宣言した。
「何だ、お前らは?」
サガンは驚きつつも、即座に反撃に出る。彼は魔法陣を発動し、砂でできた巨兵を四体作り出した。
「くそ、厄介なもん出しやがった!」
トリガーが苛立つ。
「兵士は、私とトリガーで相手をするから、レオンたちは、サガンに集中して!」
アルカが叫んだ。
「分かった!」
砂の兵士は、トリガーの銃弾もアルカの鞭もすべて攻撃を吸収してしまい、まるで効いている様子がなかった。
「なんだコイツら、効かないよ!」
アルカが焦りの声を上げる。
「俺たちは、足止めさえできればいいんだ。とにかく、攻撃あるのみ!」
そう言って、トリガーは弾丸を砂の兵士に撃ちまくった。
その隙に、サクナがサガンの前に立ちはだかる。
「おお、かわいい娘だな。俺のところに来ないか?」
サガンが卑しい笑みを浮かべ、サクナに手を伸ばした。
「なあ、いいだろうーーーデヘヘ…。」
サクナに触れようとした瞬間、彼女は魅了魔法陣を発動し、サガンの意識をクラクラにさせた。
その隙を逃さず、レオンが後ろからサガンを羽交い締めにした。そして、ミリアが仕上げの白昼夢を決め、サガンは完全に意識を失った。
最後に、リセの布陣魔法陣によってサガンは小さな繭のように閉じ込められた。その瞬間、サガンが操っていた砂兵士は崩れ落ちた。
「ありがとう、本当に助かったのね…。」
イツキは、涙を流して喜んでいた。彼女もサガンの元で虐げられていたのだろう。
「ところで、イツキは、どんな魔法陣が使えるんだ?」
レオンが尋ねた。
「私は、砂陣使いです。」
「なるほど、砂のことなら何でもこいってことか…。」
「はい、結構いろんなことができるのですよ。ただし、水魔法にめっぽう弱いのが難点ですかね…。」
「まあ、得意不得意をかばい合うのが組織だ。その辺は心配いらない!」
レオンの言葉に、イツキは安心した顔で微笑んでいた。
こうやって、レオンたちは、少しずつ仲間を集めて行った。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
「もうそろそろ、本格的なアジトが、必要だな!」
レオンが呟いた。
「結構、人数も増えてきたし、どこかに人に見つからず、大人数でも問題ない建物はないかな?」
サクナが忙しそうに部屋を片付けながらぼやく。
「そんな建物あるわけないだろ?」
トリガーが呆れて言う。
「いや、うってつけの場所があるよ!」
レオンは、サリエルを倒したあの宮殿のことを思い出した。
彼は空間魔法陣で一気に全員で移動すると、サリエルの宮殿はまだそのまま残されていた。
「多少、修繕は必要だけど、十分使えそうだ!」
レオンが満足げに頷く。
「でも、寒いわね…。」
サクナが、ブルブル震えながら言った。
「辺境の地だから、誰も来ないのはいいけど、この寒さはどうにかならないか?」
獣人のリセには厳しそうだった。
「我慢しろ、そのうちどうにかする!」
レオンはそう言って一蹴する。
「そのうちって、いつだよ…。クシュン……。」
トリガーもくしゃみをしながら震えていた。
こうして、【MACOK】の組織である「ソーサリーエレメント」の本拠地が完成した。
レオンは、この裏組織「ソーサリーエレメント」の創始者となった。彼らは裏の組織でありながら、「殺人」だけは御法度という異色の掟を掲げた。
彼らは、虐げられた【MACOK】を救い、力なき者たちの盾となることを誓ったのだった。
次回 シーズン9 【転生医術師編】
故郷の丘:幼き精霊との出会い
続きの気になった方は、
ぜひともブックマークをお願いいたします。
リアクションと⭐5もつけていただけると幸いです。
頑張って続きを書いちゃいます!




