親友の行方と運命の選択
その日は冷たい雨がしとしとと降り続き、重たい雲が空を覆い、気分も沈み込むような憂鬱な日だった。
学院の休校はまだ続いており、生徒たちの間でも不安が広がっているようだった。
ハーベルはアンナの家に足を運び、レオンのことについて相談をしていた。彼の心は昨日警察官に聞いた話でさらに混乱しており、自分なりの考察も交えながらアンナに状況を説明していた。
「アンナ、どう思う?」
ハーベルは切羽詰まった様子で問いかけた。
「うう、私たちじゃあ、どうにもできないと思う…。」
アンナも困った顔でうつむき、答えに詰まってしまった。
「確かに、15歳やそこらの俺たちじゃ限界があるのは分かるけどさ…。」
「そうだよ!警察に任せたほうがいいよ!」
「でもレオンのことが心配じゃないのか?」
「心配だよ…だけど、私たちじゃ何もできないでしょ…。」
二人はしばらくの間、言葉を失い、黙り込んでしまった。
•••••••••
ハーベルの頭には、考えが渦巻いていた。
正直、俺の中身は27歳の大人だ。それなのに、自分でもどうしようもないと思っている。
現時点では分からないことが多すぎて、推測すらまともにできない。手がかりがなければ、探す場所すら分からないんだ…。
唯一の手がかりは例の紙切れだ。しかし記憶が曖昧すぎてそれに頼ることもできない。
ただ、地図には高等部の辺りが示されていたような気がする。それが本当に唯一の手がかりなら、もう行ってみるしかない。
•••••••••
ハーベルは深く息を吸い込み、アンナの方を向いて意を決した。
「アンナ、俺、高等部に行ってみようと思う。」
「えっ、行ってどうするの?危なくない?」
アンナは真剣な顔で問い返したが、ハーベルは目を逸らさずに答えた。
「どうなるかは分からないけど…何もしないよりはいいと思うんだ。」
アンナはしばらく考え込み、やがて答えた。
「分かった、私もついて行こうか?」
ハーベルは驚いた表情を浮かべたが、すぐに首を振った。
「いや、アンナには危険なことをさせたくない。一人で行くよ。」
その言葉にアンナは不安を感じつつも、彼の決意を尊重し、静かに頷いた。
「でも、気をつけてね。本当に危ないことはしないでよ?」
「分かったよ。ありがとう、アンナ。絶対に無茶はしない。」
アンナはハーベルの手を握りしめ、信じる気持ちを込めて送り出した。
⭐☆☆☆☆☆☆⭐
翌日、ハーベルは中等部の校舎を抜け、高等部へとやってきた。
高等部の方では通常通り授業が行われており、中等部とまるで違う雰囲気に彼は驚きを隠せなかった。
「あんな事件があったっていうのに、どうして高等部は影響を受けていないんだ…?」
彼は不思議に思いながら周囲をキョロキョロと見渡し、次の手がかりを探し始めた。
次回 高等部への進入と未知の邂逅
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