過去との決別:信じる絆
ハーベルたちと別れたレオンは、重い足取りで【MACOK】たちの隠れ家である魔法学院高等部の旧校舎の地下室へとやってきた。扉を開けると、張り詰めた空気がレオンを包む。
「やはりここにいたか!」
怒声と共に、トリガーが電光石火の如く襲いかかってきた。
レオンは冷静に空間魔法陣を展開し、紙一重で攻撃をかわす。その身のこなしに、トリガーは舌打ちをした。
「まあ、話を聞いてくれ…。」
レオンは申し訳なさそうに俯いた。
「うるさい! この裏切り者が!」
「そうよ、よく顔が出せたものね!」
「あきれた…。」
罵声が飛び交う中、ミリアだけが冷静だった。
「レオン、何か事情があるんじゃないの?」
ミリアが、仲間たちを抑えてレオンに問いかけた。
「ミリア、みんな、本当にすまなかった」
レオンは、絞り出すような声で謝罪した。
「レオン、話して! みんなもまずは、レオンの話を聞いて!」
ミリアの大声に、場は沈黙に包まれた。
皆の視線がレオンに集中する。
「実は、闇の大精霊の『ルナシェイド』が、俺たちの前に現れたとき、すぐに騙されていることに気がついていたんだ。でも、その場でばらすよりも、利用した方がいいのではと思った……。」
レオンはうつ向きながら説明する。
「どうして?」
トリガーが訝しげに尋ねる。
「ルナシェイドが、悪魔の手先だと言うことに気がついたからだ!」
レオンが拳を握りしめた。
「悪魔の!?」
仲間たちの間に、驚愕の声が広がる。
「ああ。実は、昔ハーベルと僕は親友だった。その頃はまだなにも分かっていなくて、無邪気に遊んでいた。そんな時、悪魔召喚に巻き込まれた。それがすべての発端だ……。」
レオンは過去の苦い記憶を語り始めた。
「そのときの悪魔が、サリエルだった。あいつは、倒すとかそんな次元じゃないんだ。あいつだけは、なんとしてでも消さなくてはいけないんだ!」
レオンの切迫した言葉に、皆の表情が真剣になる。
「レオンが言うんだから、大概なんでしょうけど、それにしても、私たちに教えてくれてもよかったんじゃ?」
リセが不満げに口を挟んだ。
「あのルナシェイドは、闇の大精霊だ。気がつかれたら、お前たちに危害が及ぶかもしれない…。」
また、レオンは申し訳なさそうに言う。
「私たちをなめてるの?」
アルカが鋭い眼光でレオンを睨んだ。
「いや、お前たちが強いことは十分に分かっているさ。ルナシェイドにばれるよりも、僕だけが、サリエルの元に下る方が安全だと思っただけだ…。」
「レオン、しかしだ…。」
トリガーが口ごもる。彼の表情には、葛藤が見て取れた。
「まあ、納得はいかないけど、俺たちのことを考えての行動だってことは分かったよ…。」
トリガーは最終的にそう言ってくれた。
「私は、薄々勘づいていたわ!」
ミリアが、得意げに言うと、
「ウソつけ!」トリガーが即座に突っ込んだ。
「ハハハ…!」
少し場が和み、緊張の糸が緩んだ。
「そう言えば、ソーサリーエレメントは、結局どうなったんだ?」
トリガーが尋ねた。
レオンはサリエルとの戦いの全てを話した。
「サリエルを消し去るためには、神が作ったという石板に、六種類すべてのソーサリーエレメントをはめ込む必要があった。結局、ソーサリーエレメントは、石板と共に砕け散った。そして、サリエルも消えた。ハーベルが、やってのけたのさ!」
レオンは親友を誇らしげに語る。
「どうやって、レオンが味方だって分かったの、ハーベルは?」
サクナが興味津々に尋ねる。
「僕たちだけの合い言葉があるんだ。あいつなら気づいてくれると…。信じていた…。」
「なるほど…。」
一同は、レオンとハーベルの深い絆に嫉妬を覚えながらも、全てを飲み込むことに決めた。
次回
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